コロナ 陽性確認で入院待ちの男性 自宅で容体急変し死亡 広島

新型コロナウイルスの感染が急拡大している広島市で、感染が確認され入院を待っていた60代の男性が、自宅で容体が急変し、死亡していたことが分かりました。

広島県などは20日午後、記者会見し、経緯を説明しました。

それによりますと、広島市に住む60代の男性は、別の感染者の濃厚接触者としてPCR検査を受け、今月13日に陽性と確認されました。

男性は37度7分の熱や血たんの症状があったほか、心筋梗塞や糖尿病の持病があり、重症化のリスクがあるとされる患者でした。

翌日の今月14日、男性を診察した医師は、入院が必要だと考えたものの、自分で歩行できていたことなどから、直ちに入院が必要だとは判断せず、男性はいったん自宅に戻りました。

そして翌日の今月15日の入院に向けた調整が行われていましたが、男性は自宅で容体が急変し、死亡したということです。

広島県では広島市を中心に感染が急拡大し、現在確保している病床の使用率は59%と、医療現場はひっ迫しています。

県は男性を直ちに入院させなかった医師の判断と医療現場のひっ迫状況は連動していないと説明しています。

広島県の木下栄作健康福祉局長は「患者さんが亡くなったことについて重く受け止めている」と話しています。

また、広島市の阪谷幸春保健医療担当局長は「自宅での急変を察知できるよう対応を検討したい」と話しています。

専門家「本人の自覚ないまま急変することある」

新型コロナウイルス感染症の患者の治療にあたっている国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は「今回のケースについては詳細が分からないが、新型コロナウイルス感染症は本人の自覚がないまま急変することがあり、東京でも同様のケースがあり、対応に苦慮した」と話しています。

そのうえで「急変があり得ることを踏まえたうえで、リスクがある人にはなるべく早く入院してもらい、難しい場合でも異変に気がつける仕組みを作る必要がある」と指摘しています。