アメリカ FDA 2例目のワクチン緊急使用を許可 モデルナ社開発

アメリカの製薬会社モデルナが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、アメリカのFDA=食品医薬品局は18日、緊急使用の許可を出したと発表しました。アメリカ政府の当局者は、近く、ワクチンの出荷が始まる見通しだとしています。

FDAは18日、製薬会社モデルナが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、緊急使用の許可を出したと発表しました。

このワクチンについては、17日に開かれたFDAの外部の専門家委員会で、有効性と安全性について詳しい検討が行われ、委員による投票の結果、「科学的な根拠に基づき、18歳以上の人にこのワクチンを接種することで得られる利益はリスクを上回る」とする結論が賛成多数でまとめられていました。

アメリカ政府の当局者は許可が出たのを受けて、近く、ワクチンの出荷が始まり、全米にまずは590万回分が供給されるほか、今月中には合わせて2000万回分が供給される見通しだとしています。

アメリカで新型コロナウイルスのワクチンに緊急使用の許可が出たのは、製薬大手ファイザーとドイツの企業ビオンテックが開発したものに続いて2例目になります。

アメリカ政府はモデルナのワクチンをこれまでに2億回分購入する契約を結んでいます。

アメリカの製薬大手ファイザーとドイツの企業ビオンテックが開発したワクチンと、アメリカの製薬会社モデルナが開発したワクチンの比較です。

成分と接種回数

2つのワクチンはともに「mRNA」と呼ばれる遺伝物質を主な成分とする、全く新しいタイプのワクチンで、ファイザーなどが開発したワクチンは21日、モデルナのワクチンは28日と、日数は違いますが、ともに間隔を空けて2回、接種します。

有効性

有効性は、ファイザーなどのワクチンは2回目の接種後7日以降で95%、モデルナのワクチンは2回目の接種後14日以降で94.1%と高い有効性を示しています。しかし、どれくらいの期間、免疫が続くのかはわかっていません。

安全性

また安全性については、ファイザーなどのワクチンは62.9%にけん怠感、55.1%に頭痛、38.3%に筋肉痛、31.9%に寒気などがみられたほか、モデルナでは68.5%にけん怠感、63%に頭痛、59.6%に筋肉痛、44.8%に関節痛などがみられましたが、いずれも大半は軽度から中程度だったとされています。

アメリカのFDA=食品医薬品局は2つのワクチンについて「緊急の許可を妨げるような安全上の懸念は特定できなかった」と評価しています。

懸念も

一方、ファイザーなどが開発したワクチンをめぐっては、イギリスで、2人が接種後に「アナフィラキシー」と呼ばれる激しいアレルギー反応の症状を示したほか、アメリカでも、1人が接種後に激しいアレルギー反応とみられる症状を示しました。いずれもワクチンとこれらの症状に関連があるのかはわかっていません。

低温保管

2つのワクチンは、主な成分のmRNAが劣化しないよう、極めて低い温度で保管する必要があります。

ファイザーなどのワクチンはマイナス70度前後、モデルナのワクチンはマイナス20度で保管し、解凍して使用しますが、どちらも1度解凍すると再び冷凍して保管することはできません。

日本への供給

日本政府はファイザーと来年6月末までに6000万人分の供給を受けることで基本合意しているほか、モデルナとも来年9月までに2500万人分の供給を受ける契約を結んでいます。