ユネスコの無形文化遺産 日本の「伝統建築工匠の技」登録決定

ユネスコ=国連教育科学文化機関の政府間委員会は、日本の木造建造物を受け継いでいくための宮大工や左官職人などの技術「伝統建築工匠の技」の無形文化遺産への登録を決めました。

ユネスコは、オンライン形式で開いている政府間委員会で日本時間の昨夜、日本が提案した「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」について審議を行いました。

その結果「無形文化遺産と有形の文化遺産である建造物との本質的な関係に光をあてるものだ」などとして、無形文化遺産への登録を決めました。

ユネスコ日本政府代表部の尾池厚之大使は演説し「日本の職人たちはみずからの技術を誇りに思うだろう。日本の文化遺産を職人の技術なしに維持することはできず、有形と無形の文化遺産は密接に結び付いている」と述べました。

今回の登録で国内の無形文化遺産は「和食」や「和紙」などに加えて22件となります。

17の技術で構成

「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」は、17の技術で構成されています。

文化財建造物の保存に欠かせない「建造物修理」の技術や、屋根をふく技術の「ひわだぶき・こけらぶき」、そして「かやぶき」、文化財建造物を装飾する技術の「建造物漆塗」、壁の表面を土やしっくいで仕上げる「左官」や、「畳製作」などの伝統技術です。

登録を提案した理由について日本は、木や草、土などのぜい弱な自然素材を使って地震や台風に耐える構造と豊かな建築空間を生み出し、歴史的な建築遺産の保存修理においては、建築当初の部材と取り替える部材との調和や一体化を実現する高度な技術で、伝統を受け継ぎながら工夫を重ねて発展してきた、などとしています。

萩生田文部科学相「新たな地域活力の力となることを願う」

萩生田文部科学大臣は談話を発表し、「大変喜ばしいことだ。これらの技術の登録により、わが国の伝統的な技術への理解が深まるなど、新たな地域活力の力となることを願っている。文部科学省としては、これらの技術が次世代に着実に継承され、わが国の文化のさらなる発信と魅力の向上につながるようしっかりと取り組んでいく」としています。

茂木外相「日本の素晴らしい技術を世界にしっかりと発信」

茂木外務大臣は談話を発表し、「大変喜ばしく思う。関係者の皆さまに心からの敬意を表し、お祝い申し上げる。今回の登録を機に、文化財を支える日本の伝統技術が改めて注目されることを期待しつつ、こうした日本の素晴らしい技術を世界に向けてしっかりと発信していく」としています。

全国社寺等屋根工事技術保存会「高い技術の継承目指す」

「伝統建築工匠の技」のユネスコの無形文化遺産への登録について、寺や神社の屋根の工事を手がける業者でつくる団体からも喜びの声が聞かれました。

30以上の業者が加盟する京都市東山区の全国社寺等屋根工事技術保存会は60年以上にわたって「ひわだぶき」や「こけらぶき」「かやぶき」など、屋根をふく技術の保存と継承を担ってきました。

保存会の大野浩二会長は「技を世界に認めてもらうことは大変うれしく思います。これを機に国内でもより多くの方々に私たちの持つ技術を知ってほしいです」と喜びを語りました。

また「これまで人材育成が危機的な時もありましたが、今後も若い職人たちには高い技術の継承を目指して、しっかりと研修に取り組んでいってほしいと思います」と話していました。

かやぶき職人「世界トップレベルの技術を次の世代に」

京都府内でかやぶき屋根工事を手がけている職人からは喜びの声が聞かれました。

京都府南丹市の中野誠さんはおよそ30年にわたって、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれた美山町の集落をはじめ、全国でかやぶき屋根の工事を手がけています。

中野さんは「かやぶき」など「伝統建築工匠の技」のユネスコの無形文化遺産への登録について「先人から伝えられてきた技術が世界的に日の目を見てうれしいです」と喜びを語りました。

「かやぶき」の特徴について中野さんは「美山では糸ではなく縄を張って形づくるなど、地方ごとに工夫されていて、独特の地方色、建物のオーラや個性を重視してきました」と話し、技術を使い分けながら手がけてきたと説明しました。

そして「世界から見ても日本の技術は間違いなくトップレベルだということを肝に銘じ、次の世代につなげていきたいです」と話していました。