都内の新たな感染確認 前週からの増加比121% 25ポイント上昇

東京都は、17日午後3時時点の速報値で、これまでで最も多い822人が都内で新たに新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。
17日の都の専門家の会議では、都内の医療提供体制について「ひっ迫していると思われる」として、最も高い警戒レベルに初めて引き上げました。
会議の中で示された都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。

「現在の増加比4週続くと 1日約1100人の陽性者」

新たな感染の確認は、16日までの7日間の平均が513.1人で、前の週(424.6人)からおよそ89人増えました。
増加比はおよそ121%となっていて、前の週からおよそ25ポイント上昇しています。

専門家は「複数の地域や感染経路でクラスターが頻発しており、感染拡大が続いている。通常の医療が圧迫される深刻な状況となっている」と強い危機感を示しました。

そのうえで「現在の増加比のままで4週間続くと、およそ1100人の新規陽性者が1日に発生することになる。増加比がさらに上昇すると、新規の陽性者が爆発的に増加する」と分析し、最大限の感染拡大防止策を早急に講じる必要があると指摘しています。

年代別 20・30代が多く

今月14日までの1週間で確認された3380人の新規陽性者の年代別の割合は、
▼20代が最も多く25.5%、
次いで
▼30代が19.6%でした。
このほか、
▼10歳未満が2.2%、
▼10代が5.9%、
▼40代が15.8%、
▼50代が12.4%、
▼60代が6.8%、
▼70代が5.6%、
▼80代が4.6%、
▼90代以上が1.6%でした。
65歳以上の高齢者は、割合は前の週から1.4ポイント減りましたが、人数は26人増えて494人となりました。

専門家は「重症化リスクの高い高齢者などの家庭内感染を防ぐためには、家庭の外で活動する家族が感染しないことが最も重要だ。軽症や無症状であっても感染リスクがあることに留意する必要がある」と指摘しました。

家庭内の感染が最多 30・40代は次いで職場での感染

一方、感染経路がわかっている人のうち、家庭内での感染は42.3%で、感染経路別では20週連続で最も多くなりました。
また、年代別にみると、80代以上を除くすべての年代で家庭内感染が最も多くなりました。

このほか、病院や高齢者施設などの施設内は20.2%でした。80代以上では、この施設内での感染が58.1%で最も多くなりました。

また、職場内は12.4%でした。30代と40代では家庭内感染の次に職場での感染が多くなりました。

このほか、会食は6.7%、夜間営業する接待を伴う飲食店は2.9%でした。

専門家は「日常生活の中で感染するリスクが高まっていて、保健所業務への大きな支障や医療提供体制の深刻な機能不全を避けるための最大限の感染拡大防止策が必要である。特に高齢者施設での対策の徹底が求められる」と分析しています。
さらに「地域の基幹病院などで院内感染が広がると、周辺の救急病院などへの負担が増大し、病床の確保が一層厳しくなる」と指摘しました。

感染経路わからない人の割合 20~60代で高い値

「感染の広がりを反映する指標」としている、感染経路のわからない人は、16日までの7日間平均で293.1人で、前の週より61人増えました。(前週は232.1人)

年代別の陽性者に占める感染経路がわからない人の割合は、20代から40代では60%台、50代と60代では50%台と高い値となっていて、専門家は「活発な社会活動を反映して感染経路が不明になっている可能性がある」と指摘しています。

このほか、この1週間で確認された新規陽性者のうち22.2%が無症状でした。

都は、都外に住む人がPCR検査のため、だ液を都内の医療機関に送り、その後、都内の保健所に陽性の届けが出たケースを除いて分析・評価していますが、今週はこうしたケースが147人いました。

「今の比率で陽性者増 2週間後 医療提供体制不全も」

検査の「陽性率」は、16日時点では6.7%で、前回の6.1%から上昇しました。

一方、入院患者は、1週間前の今月9日の時点より140人増えて、16日時点で1960人でした。(9日は1820人)
専門家は、陽性者以外にも、陽性の疑いのある個室管理が必要な患者を、都内全域で1日当たり最大およそ200人程度受け入れていると報告しました。

そのうえで「今週の入院患者は一時、2000人を超える非常に高い水準まで増加し、医療提供体制がひっ迫している。今の比率で新規の陽性者が増えると、2週間後の今月31日には、医療提供体制の深刻な機能不全や、保健所業務への大きな支障の発生が危惧される」と強い危機感を示しました。

さらに「医療機関は通常の医療を行っている病床を新型コロナウイルスの患者の病床用に転用している。通常の医療との両立が困難な状況となった」と指摘しています。

「新規陽性者の約1%が重症化」

このほかに、16日の時点で自宅で療養している人が1255人、都が開設したホテルなどで療養している人は938人となっていて、専門家は「宿泊療養の対象者の増加に確実に対応できるよう、宿泊療養体制のさらなる強化が求められる」と指摘しました。

また、都の基準で集計した重症患者は16日時点で69人で、1週間前と比べて10人増えました。
69人を年代別にみると、▼30代が1人、▼40代が4人、▼50代が7人、▼60代が18人、▼70代が25人、▼80代が13人、▼90代が1人です。
性別では、▼男性が54人で、▼女性は15人でした。

専門家は「新規の陽性者のおよそ1%が重症化しているため、現状のままだと2週間後の今月31日には重症患者がおよそ104人となり、医療提供体制の深刻な機能不全が危惧される」と指摘しました。

今月14日までの1週間で都に報告された亡くなった人は21人で、21人のうち16人が70代以上でした。