会食 5人以上はなぜダメか 菅首相が反省する理由

会食 5人以上はなぜダメか 菅首相が反省する理由
大人数の会食や飲み会を控えるよう呼びかけられる中、菅総理大臣が5人以上で会食したことに対し批判が集まりました。新型コロナウイルスの感染が広がる中、政府や自治体は会食する場合、参加者は原則4人以下にするよう呼びかけています。そもそもなぜ4人以下とされ、5人以上ではダメなのでしょうか。この4人と5人の線引きの理由を探りました。(ネットワーク報道部記者 大窪奈緒子 田隈佑紀)

菅首相が5人以上のステーキ会食 批判相次ぐ

政府が大人数での会食を控えるよう呼びかける最中の12月14日夜、菅総理大臣は俳優や党の幹部らと東京 銀座のステーキ店で会食しました。会食には8人が参加したということです。
この会食について、与党の議員から「一律に人数では限定できない。感染拡大に十分注意しながら会食することを批判するのは少し過剰反応だ」と擁護する意見があった一方、野党からは「国民に自粛を呼びかけている間に、自分たちは高級ステーキを食べて盛り上がっている。国民の支持は離れていく」と批判の声が上がりました。
SNS上では大人数の会食に対する厳しい意見が相次いで投稿されています。
ツイッターより
「会食の件、危機感が感じられない」

「国民には痛みを我慢するよう言っておきながら、自分たちは関係ないと?」

「国民には新しい生活スタイルでと言っているのに…」

菅首相「真摯に反省」

これに対し菅総理大臣は記者団の取材に応じ「大人数での会食は適切だったと考えているか」という質問にこう述べました。
菅首相
「他の方との距離は十分にあったが、国民の誤解を招くという意味においては真摯(しんし)に反省している」
菅総理大臣が反省した理由。それは、会食の人数にありました。政府は、原則4人以下での会食を呼びかけています。

都道府県に対して感染状況に応じて「Go Toイート」の食事券やポイントの利用を4人以下の飲食に限るよう呼びかけ、対応を始めた自治体もあります。

「5人以上は控えて」の根拠は?

4人と5人の会食とでは感染リスクに違いはあるのでしょうか?

政府で新型コロナウイルスの対策を検討する、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室の担当者に聞きました。
内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室
「5人以上の会食は感染リスクが高まるとされていますが、明確に科学的根拠があって5人としているわけではありません。統計的に明確な差があることも分かっていません。ただ、多くの人に行動を分かりやすく伝えるために示された数字と認識しています。この会食人数は、10月23日に政府の分科会がまとめた注意喚起を求める提言の中で示されました」

クラスター 8割以上は5人以上

また、西村経済再生担当大臣は12月15日の記者会見で、会食の際に発生したクラスターの8割以上は5人以上の会食だったと明らかにし、注意を呼びかけました。
西村経済再生担当相
「飲酒を伴って、長時間、大人数でマスクを外しての会話が最近のクラスターの特徴的な事例だ。会食のクラスターの8割以上は、5人以上だということを頭に置いて、長時間、大人数はできるだけ避けていただくようにお願いしたい」

大阪府「行動を変えるために」

全国でいち早く7月下旬に、5人以上での会食、飲み会を控えるよう呼びかけたのは、大阪府の吉村知事でした。当時、政府からは「大人数の会食」を控えるよう呼びかけがされていましたが、具体的な人数について言及はありませんでした。

吉村知事はこの時の記者会見で、5人という数字に「科学的根拠はない」としながら行動の変化を促すのがねらいだという考えを示しました。
大阪府 吉村知事
「若い人たちの行動パターンを変えていかないと感染者が減らないと感じていた。大人数じゃわかりにくい。『何人だったらOK』『何人だったらだめ』と、明確に数字を出したほうが府民の皆さんにも明確になるので、明確な基準を作るのが政治の役割じゃないかと思っていた。数字を示さずに『大人数での飲み会をやめてください』と言うより効果があると思っている」
政府も大阪府も、明確な根拠はないとしながらも、これまでの事例を踏まえて、人数を明確にするという分かりやすさを優先したということでした。

4人と5人の線引き 合理性は?

では、この4人と5人の線引きに、合理性はあるのか?
専門家に聞きました。

日本感染症学会の寺嶋毅指導医は、特に5人以上になると感染のリスクはより高くなり、この数字に一定の合理性はあると指摘しています。注目しているのは、座席の位置です。
寺嶋医師
「4人までだと話す相手は、正面か隣、対角線だけですが、5人になると1人の席が離れることになり、どうしても声が大きくなり、飛まつが飛びやすくなります。離れた人どうしが話をすると、なかなか静かに会食することは難しくなります」
さらに、人数が増えた場合、心理的な影響もあると言います。
寺嶋医師
「マスク会食が呼びかけられていますが、飲食の場で『マスクをしなくてもいい』という人が複数いると、そちらに流れる可能性が高くなります。人数が多い時のほうがそうしたことが起きやすい。現在のひっ迫した医療体制などを考えると感染リスクが上がる5人以上の会食を控えるということは守ってもらいたいと思います」
各地で飲食店の営業時間短縮が要請されている中、感染防止対策をとりながら会食することがあるかも知れません。

その際は、手指の消毒や、マスクの着用といった感染対策に注意を払いつつ、5人以上は感染リスクが高まると言われていることも心にとめておくことが大事だと思います。