コロナ 飲食店などの営業短縮 各地で要請「乗り越えるしか…」

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めをかけるため、17日から広島県や沖縄県で飲食店などに対し営業時間の短縮などを要請しています。また、京都府や千葉県では17日、営業時間短縮の要請開始や対象地域の拡大が決まりました。

広島市 営業時間短縮など要請を開始 客見込めないと休業も

広島県は17日から、広島市内の一部地域の酒類を提供する飲食店に対し、営業時間と酒類の提供時間を短縮するよう要請しています。

対象は、▽広島市中区の流川地区、▽西区のJR横川駅周辺、▽JR広島駅南側など、中区・南区・西区の一部地域となっています。
県は、17日から来年1月3日までの間、この地域内の酒類を提供する飲食店に、▽営業時間を午前5時から午後8時まで、▽酒類の提供時間を午前5時から午後7時までとするよう要請しています。

そして、この要請に応じた店には1店舗当たり72万円を支援するとしています。またこの要請に基づいて休業した店には1店舗当たり82万円を支援するとしています。
広島市中区にある「ニューハーフパブさくら」は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、入店時には利用客の体温を測り、飛まつを防ぐためのアクリル板やシートを設置するなど、対策をとってきました。しかし、今回の要請を受けて、17日から来年1月3日まで休業することを決めました。

オーナーのさくらさんは、店の扉に休業を知らせる貼り紙をしたり、年明けの再開に向けて正月用の飾りを付けたりして、休業の準備をしていました。

さくらさんは「感染が拡大した先月下旬以降、お客さんがものすごく減った。店を開けていてもお客さんも来ないと思うので休業することにした」と話していました。

休業した店に対し県から支援されることについて、さくらさんは「ありがたいと思う。一般の人からは多いんじゃないかと思われるかもしれないが、不安に対する保証の面もある」と訴えました。

要請の期間は来年1月3日までですが、さくらさんは「4日から店を開けられるとしたら、感染を防ぐための対策をしっかりとして、地道にやっていくしかない。乗り越えるしかない」と不安そうに話していました。
広島市中区のビアホール「CRAFT BEERと炭火 はればれ」は、酒の提供を午後7時までとしたうえで、通常午後10時の閉店時間を午後8時に前倒しました。

この店では、開店したことし8月から入店時の検温や飛まつを防ぐためのアクリル板やシートを設置するなどの感染防止対策をとってきました。

広島市での感染拡大を受けて、アクリル板の数を増やすほか、感染者が発生した場合に備えて、入店時に客に名前と連絡先を記入してもらうなど、対策をさらに徹底することにしています。
店長の小野田繁伸さんは「うちはクラフトビールを店内で作っているので、待っていただいてるお客様のためにも、休業より時短営業がいいと思った。厳しい状況ではあるが、できるかぎりの対応をしていきたい」と話していました。

沖縄 3市で営業時間短縮要請を開始

沖縄県は、▽那覇市、▽浦添市、▽沖縄市の3つの市にあるすべての飲食店と接待を伴う遊興施設などに対し、17日から営業時間を午後10時までに短縮するよう要請しています。

対象になるのは3市で合わせて4741の事業所です。

期間は今月28日までの12日間で、すべての期間、協力した飲食店に対しては、県から一律で48万円の協力金が支給されます。
那覇市の国際通り周辺にある焼き肉店は、午前0時まで営業していましたが、今回の要請に応じて午後10時に閉店することにしました。
店では17日午後、営業を短縮することを利用客に伝える手作りの貼り紙を貼ったり、仕込みの量をふだんより3割ほど減らしたりして備えていました。

店によりますと、営業が短縮される2時間は仕事終わりの会社員などでにぎわう時間帯で、売り上げ全体の2割にあたるということで、店にとって大きな痛手になるということです。
焼肉バカ一代那覇本店の店主の池田正文さんは「『またか』という気持ちが一番大きいですが、感染をくい止めるためにも、飲食店として、時短要請を受け入れて対応していくしかない」と話していました。
全国のほかの都道府県でもすでに、飲食店などに対して営業時間の短縮などを要請する動きが出ています。(17日時点)

【北海道】
▽札幌市全域の接待を伴う飲食店に対し休業を、▽繁華街のススキノの飲食店などに対し、今月25日までの間、午後10時までの営業時間短縮などを要請しています。

【茨城県】
▽土浦市、▽つくばみらい市、▽利根町で、酒を提供する飲食店などに対し、今月20日までの間、午後10時までの営業時間短縮を要請しています。

【群馬県】
▽太田市、▽伊勢崎市、▽桐生市、▽みどり市、▽館林市で、接待を伴う飲食店、アルコールを提供する飲食店、カラオケ店に対し、今月28日までの間、午後10時から午前5時までの営業自粛を要請しています。

【埼玉県】
▽さいたま市大宮区、▽川口市、▽越谷市で、酒を出す飲食店とカラオケ店に対し、午後10時までの営業時間短縮を要請しています。期間は、当初の今月17日までから、10日程度延長しています。

【東京都】
▽23区、▽多摩地域で、酒を提供する飲食店やカラオケ店に対し、来年1月11日までの間、午後10時までの営業時間短縮を要請しています。

【神奈川県】
▽横浜市と▽川崎市で、酒類を提供している飲食店とカラオケ店に対し、来年1月11日までの間、営業時間を午前5時から午後10時までに短縮するよう、要請しています。

【岐阜県】
県内32市町村で、酒を提供する飲食店に対し、今月18日から来年1月11日までの間、午後9時までの営業時間短縮を要請します。
対象の市町村:▽岐阜市、▽大垣市、▽中津川市、▽羽島市、▽各務原市、▽瑞穂市、▽多治見市、▽関市、▽瑞浪市、▽恵那市、▽美濃加茂市、▽土岐市、▽可児市、▽山県市、▽飛騨市、▽本巣市、▽海津市、▽岐南町、▽笠松町、▽養老町、▽垂井町、▽関ケ原町、▽神戸町、▽輪之内町、▽安八町、▽北方町、▽坂祝町、▽川辺町、▽八百津町、▽白川町、▽御嵩町、▽東白川村

【愛知県】
名古屋市中心部の栄・錦地区の一部で、飲食店やカラオケ店に対し、午後9時までの営業時間短縮を要請しています。さらにこの営業時間短縮の要請を、今月18日から来年1月11日まで、県全域の飲食店やカラオケ店に拡大します。

【大阪府】
大阪市全域で、居酒屋、接待を伴う飲食店、酒類の提供を行うバー、カラオケ店などに対し、今月29日までの間、営業時間を午前5時から午後9時までとするよう要請しています。

【高知県】
県内全域で、飲食店、旅館やホテルの宴会場、カラオケボックス、ライブハウスなどに対し、今月30日までの間、午後8時までの営業時間の短縮を要請しています。

千葉県 営業時間短縮要請を千葉市にも拡大

千葉県は今月22日まで県北西部の11の市の飲食店に酒類を提供する時間を午後10時までにするよう求めていました。

しかし、県内の感染者が100人を超える日が続き、より強い対策が必要だとして、17日開かれた県の対策本部会議で、国の特別措置法に基づき、今月23日から来年1月11日までの20日間、県北西部の11の市と千葉市にある酒類を提供する飲食店に対し、営業時間を午前5時から午後10時までの間に短縮するよう要請することを決めました。

全面的に応じた店舗には協力金として一律80万円を支給する方針で、感染対策が十分とられていることや中小企業であることなどが支給の条件になるということです。

今回の要請の対象の市:▽千葉市、▽市川市、▽浦安市、▽習志野市、▽八千代市、▽鎌ケ谷市、▽船橋市、▽柏市、▽野田市、▽松戸市、▽流山市、▽我孫子市

京都市 今月21日から営業時間短縮要請へ

京都府は、京都市内の酒類を提供する飲食店などに対し、今月21日から来年1月11日まで、営業時間を午後9時までに短縮するよう要請することを決めました。

17日に開かれた府の対策本部会議では、16日に府内で1日としては過去最多の97人の感染が確認され、最近の傾向として京都市内の飲食店での飲み会や会合をきっかけに感染が広がっているケースが多くなっていることが報告されました。

そして、さらなる感染拡大を防ぐため、京都市内の酒類を提供する飲食店などに対し、営業時間の短縮を要請することを決めました。

対象は、居酒屋やバーなどのほか、接待を伴う飲食店やカラオケ店などで、期間は今月21日から来年1月11日までの22日間とし、営業時間は午前5時から午後9時までとするよう要請するとしています。

また、要請に応じる店には協力金として1日当たり4万円を、京都市とともに支給する方針も確認しました。
京都市下京区の和食居酒屋では、営業時間短縮の要請を受けて、午前0時だった閉店時間を今月21日から午後9時に早めることを決めました。

この店では、感染拡大の影響で、これまで夕方だった開店時間を午後2時半に早めるなど工夫をしながら営業を続けてきました。
今回は閉店時間が早まることから、さらにランチの時間帯からの営業開始などを検討しているということです。

店によりますと、先月はGo Toトラベルの影響で観光客を中心ににぎわっていたということですが、今月に入ってからは徐々に客が減り、例年の半分ほどになっているということです。
店長の安藤明さんは「感染者が増えることは予想していましたが、急な要請に、今後どう対応していけばいいか不安を感じています。ずっと居酒屋として営業をしていましたが、お客様のニーズに合わせて対応していきたいです」と話していました。