東京都 専門家会議 医療提供体制 最も高い警戒レベルに

東京都内で新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、都の専門家の会議は都内の医療提供体制について「ひっ迫していると思われる」として、最も高い警戒レベルに初めて引き上げました。専門家は「通常医療との両立が困難な状況になった」と指摘し、患者の増加を抑えることが重要だと強く訴えました。

都の専門家の会議は、17日の会合で、都内の医療提供体制について、「体制がひっ迫していると思われる」と総括し、4段階ある警戒レベルのうち最も高いレベルに引き上げました。

医療提供体制は、ことし7月以降、先週までの23週連続で上から2番目が維持されていて、最も高いレベルになるのは初めてです。

専門家は「新型コロナウイルスの入院患者の増加傾向に伴い、通常医療との両立が困難な状況になった。新規陽性者数の増加を抑制する対策を強化し、重症患者数の増加を防ぐことが最も重要だ」と指摘しました。

そのうえで「医療提供体制側は余力の部分をもう全部使った。とにかく患者を減らすしかない」と強く訴えました。

一方、都内の感染状況については「これまでに経験したことのない非常に高い数値で推移している」と指摘しました。

そして、「日常生活のなかで感染するリスクが高まっており、医療提供体制の深刻な機能不全を避けるための最大限の感染拡大防止策が必要だ」として先週に続いて、「感染が拡大していると思われる」という最も高い警戒レベルにしました。

重症患者 新たな受け入れ困難なケースも

都内の医療提供体制の分析・評価を行った東京都医師会の猪口正孝副会長は、17日の会議で、すでに重症患者を受け入れている病院では、重症患者の基礎疾患の内容によっては新たに受け入れることが難しくなっていると説明しました。

この中で、猪口副会長は「病院にとっての重症病床は、新型コロナウイルスの患者用だけでなく病院全体で診ている患者にとっての『虎の子』というかいちばん大事なベッドだ」と説明しました。

そのうえで、「すでに複数の重症患者を診ていると医療従事者のマンパワーがかなりとられていて、残りの病床で新たに受け入れるためには条件がたくさんつくようになる。1人目の重症患者を入れるのと4人目を入れるのではかなり状況が違う」と述べ、重症患者の基礎疾患の内容によっては新たに受け入れることが難しくなっていると説明しました。

専門家「いつもと違う年末年始」

会議に出席した専門家の1人で、都の感染症対策の拠点「東京iCDC」の「専門家ボード」で座長を務める東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「いつもと違う年末年始」だとして、都民に対策の徹底を呼びかけました。

このなかで、賀来特任教授は、年末年始に向けたメッセージとして、▽帰省はできるだけ避けて電話やオンラインで話すよう呼びかけました。

仮に帰省する場合でも▽2週間前から会食などを控えること、▽時期をずらして交通の混雑を避けること、▽帰省先で高齢者と近くで話すときは、マスクをつけることなどを呼びかけました。

また、▽忘年会や新年会は控え、▽初詣は混雑する日や時間帯を避けてほしいとしています。

そのうえで今回の年末年始は、▽いつも一緒にいる人と過ごすことや、▽人の多いところに出かけないこと、▽常にマスクや手洗いを忘れず、換気に注意することを呼びかけています。

賀来特任教授は「いつもと違う年末年始です。自分自身や家族、身近な人を感染から守っていただきたい」と都民に対策の徹底を呼びかけました。

小池知事「不要不急の外出控えて」

会議で東京都の小池知事は「都民の皆さんは引き続き都外・都内への不要不急の外出を控え、買い物などで外出する際も人数や時間を最小限にしていただきたい。家庭内での対策を徹底し、軽症や無症状であっても感染リスクがあることに留意してほしい。『防ごう重症化守ろう高齢者』という点を改めて強く意識していただきたい」呼びかけました。

小池都知事 臨時会見へ

東京都は、このあと午後6時すぎから幹部が出席する対策本部会議を開き、対応を協議することにしています。

その後、小池知事が臨時の記者会見を開き、年末年始に向けての感染防止対策の徹底などを呼びかけることにしています。

東京都 重症用250床など確保を要請

東京都は、新型コロナウイルスの重症の患者向けのベッドを今よりさらに50床増やして250床に、中等症以下の患者向けのベッドを今より950床増やして3750床にするよう、都内の医療機関に要請する通知を16日付けで出しました。

重症と中等症以下のベッドを合わせると、これで都内全体で新型コロナウイルスの患者用に4000床の確保を目指します。