東京都 新型コロナ 822人感染確認 過去最多

東京都は17日、これまでで最も多い822人が都内で新たに新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。参考にしている3日前の検査数はこれまでで最も多いおよそ1万1000件ですが、都の担当者は「すべての年代と都内の全域に感染が広がってしまったことが積み上がり、きょうの数字になっている」と述べ、検査数の増加だけが感染の確認が増えた要因ではないという認識を示しました。

東京都は17日、都内で新たに10歳未満から90代までの男女合わせて822人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

1日の人数としては16日の678人を140人以上上回って、これまでで最も多くなりました。

7日間平均は、17日時点ではこれまでで最も多い565.9人となり、16日の時点より30人余り増え、これで9日連続の増加です。

また無症状の人は190人で、こちらもこれまでで最も多くなりました。

年代別

17日の822人は年代別では
▽10歳未満が23人で過去最多、
▽10代が47人で過去最多、
▽20代が201人、
▽30代が169人で過去最多、
▽40代が123人で過去最多、
▽50代が113人で過去最多、
▽60代が63人で過去最多、
▽70代が43人で過去最多、
▽80代は26人、
▽90代は14人でした。

また、65歳以上の高齢者は112人と、こちらもこれまでで最も多くなりました。

濃厚接触者の内訳は

17日の822人のうち、およそ43%に当たる350人はこれまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、残りのおよそ57%の472人は、これまでのところ感染経路が分かっていないということです。

濃厚接触者の内訳は「家庭内」が最も多く145人、次いで「職場内」が51人、「施設内」が44人、「会食」が24人などとなっています。

このうち「施設内」では11の医療機関で患者12人と職員4人、7つの高齢者施設で利用者と入所者合わせて7人と職員4人の感染がそれぞれ確認されました。

参考の3日前の検査数 これまでで最多

参考にしている3日前の検査数はこれまでで最も多いおよそ1万1000件ですが、都の担当者は「大規模なクラスターはなく、すべての年代と都内の全域に感染が広がってしまったことが積み上がり、きょうの数字になっている。今週になって感染者の数が増えているように見受けられ、検査数が増えたことだけが要因ではなく、感染する人自体が増えていることがうかがえる」と話しています。

これで都内で感染が確認されたのは合わせて4万9490人になりました。

一方、都の基準で集計した17日時点の重症の患者は16日より3人減って66人でした。

また、17日に死亡が確認された人はいませんでした。

入院患者は1952人 自宅療養者は1363人

東京都によりますと、都内で17日までに感染が確認された4万9490人のうち、入院中の人は16日より8人減って1952人です。

入院患者のうち、都の基準で集計した重症の患者は、16日より3人減って66人でした。

都は、17日の時点で、重症の患者向けの病床を200床確保していますが、これを250床に、中等症以下の患者向けの病床は2800床確保していますが、これを3750床にするよう医療機関に要請しました。

また、自宅で療養している人は、16日より108人増えて1363人でした。

都が開設・運用している10のホテルなどで療養している軽症や無症状の人は、16日より10人減って928人でした。

このほか、医療機関に入院するか、ホテルや自宅で療養するか調整中の人は、16日より190人増えて1107人です。

一方、すでに退院した人や、自宅などでの療養が終わった人は4万3583人となっています。

都内の検査数増加 陽性率も上昇

東京都内での新型コロナウイルスの検査数は、17日の感染確認の参考となる3日前の今月14日が少なくとも1万909件あり、過去最多となりました。

今月は、7日も1万198件で1万件を超える日が2日あり、多い傾向が続いています。

1日の平均で見ると、先月は5877件だったのが、今月は17日までで7428件となっていて1500件余り増えています。

また、検査の陽性率は、先月のはじめは3%台でしたがその後、上昇しました。

先月20日からは6%台で推移し、15日は6.7%でした。

専門家「感染が減少する要素少ない」

過去最多の感染者が確認された東京都の状況について、感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎教授は「検査数が増え、感染者が多く見つかっている側面もあるが、拡大が続いているのは確かだと思う。営業時間の短縮要請など強い対策が取られているが、人の動きはさほど変わっておらず、感染が減少する要素が少ないのが現状だ。医療が大変厳しい状況になってきていることも危惧される」と述べました。

検査の数について、東京都では現在では1日当たり7000件ほどと、先月上旬の4000件程度から大きく増加しましたが、検査での陽性率は6%台の水準が先月下旬以降、続いています。

これについて、濱田教授は、「流行が広がっていなければ、検査数が増えると陽性率は下がるはずで、下がらないということは、地域で感染が拡大していると捉えるべきだ」と指摘しました。

さらに、感染経路が不明の人の割合が増加しているとして、「都市部になればなるほど、感染経路が不明の人の数や割合が高くなっている傾向がある。不特定多数が訪れる飲食店などを通じて市中感染が広がっているのと同時に、感染の拡大で患者の感染経路を調べる保健所の体制がひっ迫し、接触者の調査、クラスター対策ができなくなってきていることを示している。調査できなくなれば感染がさらに広がり、保健所がさらにひっ迫して調査が困難になるという負のスパイラルに陥ってしまう」と述べて強い危機感を示しました。

また、東京都や大阪府などのほか、これまで大きな感染が見られなかった広島県などでも拡大していることについて、濱田教授は「大都市部で広がっていた感染が、人の移動によって地方の中心都市に飛び火してクラスターが発生している状況だと思う。地方の中心都市からさらにその周辺の地域に感染が広がる事態は十分に想定される。地方は医療体制もぜい弱なことが多いため、人の移動をできるだけ抑えるということが必要になるのではないか」と指摘しました。

そのうえで「感染の拡大を一度強く抑えるために、国や自治体などの行政は営業時間の短縮要請などいま一度強い対策とメッセージを発信することが必要だと思う。同時に、私たちももう一歩強い行動変容が求められている。多くの人に意識を持ってもらうためにも、行政には移動の削減率など具体的な目標値を示してもらいたい」と話しています。

加藤官房長官「都の取り組みを支援」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「政府としては、引き続き、東京都と緊密に連携しながら、地域の感染状況を踏まえ、都の取り組みをしっかり支援していきたい。また、基本的な感染防止対策の徹底に引き続きご協力をお願いしたい」と述べました。

西村経済再生相「極めて強い危機感」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で「極めて強い危機感を持って、数字を注視しており、小池知事とも連絡をとりたい。東京では、飲食店への営業時間短縮の要請などを行ってもらっているが、新規感染者が減少傾向に転じるには至っておらず、繁華街の人の動きも思うように減っていない部分がある」と述べました。

そのうえで「ぜひ、営業時間短縮の要請に応じてもらい、利用する皆さんも、特に、大人数や長時間の懇親、飲酒を控えるなど、感染防止策の徹底をお願いしたい。さまざまなデータの解析から、知らない人や久しぶりに会う人と一堂に会すると、感染リスクが高まることがわかってきているので、家族やふだん一緒にいる親しい人と、短時間、少人数で過ごすことをお願いしたい」と呼びかけました。