新型コロナ「勝負の3週間」の感染状況 「実効再生産数」で分析

新型コロナウイルスの感染拡大の対策を短期的に集中的に行う「勝負の3週間」の感染状況について、NHKは疫学の専門家の監修のもとで、感染の状況を見る指標で、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」を、簡易な方法で出して分析しました。

全国での実効再生産数は「勝負の3週間」の呼びかけの後も、感染が拡大に向かう「1」を超える状態が続いていることがわかり、感染症の専門家は「効果は出ていないように見え、より強い対策を取る必要がある」としています。

NHKは疫学の専門家で、国立感染症研究所鈴木基感染症疫学センター長の監修を受けて、1人の感染者が何人に広がるかを示す「実効再生産数」を、簡易な方法で計算しました。

実効再生産数をより正確に出すためには、発症日を推定して計算するなど、さらに多くの条件を考慮する必要がありますが、今回は確認された日ごとの感染者の数をもとに、簡易な方法で計算しています。

実効再生産数は「1」を超えると感染が拡大に向かう一方で、「1」を下回ると収束に向かうとされています。

全国

全国での実効再生産数は
▽先月10日時点では1.26
▽先月17日時点で1.33
▽先月24日時点では1.24でした。

「勝負の3週間」の呼びかけの後で少し下がり
▽今月1日時点で1.03
▽今月8日時点で1.02
▽15日の時点で1.11となったものの「1」を下回らず、感染の拡大傾向が続いています。

東京

また、東京都では
▽先月10日時点で1.19
▽先月17日時点では1.26
▽先月24日で1.25と1.2前後で推移していましたが「勝負の3週間」の呼びかけの後
▽今月1日時点には1.03
▽今月8日時点では0.98と「1」を下回りました。

しかし、15日の時点では1.14となり、高止まりの傾向が続いています。

大阪

大阪府では
▽先月10日時点で1.11
▽先月17日時点で1.41
▽先月24日時点で1.30と感染が拡大に向かう状態で推移していましたが、勝負の3週間に入り
▽今月1日時点には1.02
▽今月8日時点では0.99
▽15日時点では1.01と、「1」前後となっています。

愛知

愛知県は
▽先月10日時点で1.19
▽先月17日時点で1.29
▽先月24日時点で1.22と1.2前後で勝負の3週間に入り
▽今月1日時点には1.10
▽今月8日時点では1.02
▽15日の時点では1.04と「1」前後となっています。

北海道

一方、北海道では
▽先月10日時点では1.68と全国より高い状態でしたが、「勝負の3週間」の前に札幌市内で不要不急の外出を控えることなどを呼びかけ
▽先月17日時点には1.32
▽先月24日で1.10と下がり始め
▽今月1日時点には0.91
▽今月8日時点では0.90
▽15日の時点では0.95と3週連続で「1」を下回っています。
日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は「実効再生産数は1を下回る状態をなるべく長く維持しないと収束には向かわないため、各地の数値を見ると、『勝負の3週間』と呼びかけた効果は、ほとんど出ていないように見える。正確なことはさらに1、2週間ほど待たないと分からないが、新規の感染者数が最多を更新する日が続いており、今後も非常に厳しい状況が続くのではないか。飲食店の営業時間のさらなる短縮を要請するなど、より強い対策を取る必要がある」と話しています。