ドイツ・イギリス クリスマス前に相次ぎ規制強化 感染再拡大で

ヨーロッパでは新型コロナウイルスの感染が再拡大しているドイツやイギリスでクリスマスを前に16日から相次いで規制が強化されます。一方、外出を制限してきたフランスでは一定程度、拡大が収まったとして緩和に踏み切りましたが、警戒を緩めないよう呼びかけています。

ドイツでは先月から全国の飲食店で店内に客を入れての営業を禁じる措置をとってきましたが、感染拡大に歯止めがかからず、今月11日には1日の新たな感染者が2万9000人を超え、亡くなった人も598人とこれまでで最も多くなりました。

このためドイツでは人出が多くなるクリスマスの時期を前に16日から来月10日まで規制を強化し、ほとんどの小売店の営業を禁止して、公共の場での飲酒も禁じる措置をとることにしました。

またイギリスでもロンドンを含むイングランドの南東部で感染が再拡大しているとして、16日から規制を最も厳しい段階に引き上げ、パブやレストランなど飲食店の店内での飲食を禁じます。

一方、フランスでは10月末から外出を制限してきた結果、感染拡大が一定程度、収まったとして15日、朝6時から夜8時までの自由な外出を認め、ほかの地域にも移動できるよう制限を緩和しました。

ただ1日の感染者数は先月初旬のピーク時のおよそ6万人から減ったものの、現在も1万人前後で推移していて、政府は予定していた映画館や劇場、美術館の再開は認めず、飲食業も店内に客を入れての営業はできません。

政府の科学諮問委員会はクリスマス休暇をきっかけに感染が拡大する可能性もあるとして、家族や友人の集まりは最小限にとどめるなど警戒を緩めないよう呼びかけています。

ホットワインの習慣も…ドイツではクリスマス前に規制強化

ドイツではクリスマス前までに感染の広がりを抑えようと先月全国の飲食店で店内に客を入れての営業が禁じられましたが、経済活動を維持するため小売店の営業は認められてきました。

しかし今月に入り街なかではクリスマス用の買い物をする人や屋外でこの時期ならではのホットワインを飲んで談笑する人たちの姿が多く見られるようになっていました。

一方で今月11日には1日の新たな感染者が2万9000人を超え、亡くなった人は598人といずれもこれまでで最も多くなり、病院の集中治療室の患者数も増えて医療システムにかかる負担への懸念も強まりました。

こうした中、今月9日に連邦議会で演説したメルケル首相は人々が集まってホットワインを飲むという習慣に理解を示しつつも「その代償として1日に590人が亡くなるようなことは受け入れられない」と厳しい口調で危機感を訴えていました。

これを受けてドイツでは今月16日から来月10日までほとんどの小売店の営業と公共の場での飲酒を禁じ、学校も閉鎖するより厳しい措置に踏み切り、これに伴ってこの措置で影響を受ける企業に経済的な支援をするとしています。

「我慢するしかありません」 ベルリンの街では

ドイツのベルリン中心部では15日、ほとんどの小売店の営業が禁止されるのを前にクリスマスのプレゼントなどを買い求める大勢の人たちが衣料品や雑貨を販売する店を訪れ、長い列を作っていました。

郊外から訪れたという女性は「クリスマスの贈り物を買いにきましたが、長居はしないつもりです。この時期にロックダウンとなるのはとても残念ですが、来年、亡くなる人がさらに増えないよう、手遅れになる前に今やることが必要です」と話していました。

一方、路上に出店した店でクリスマスの飾りを販売していた男性は「あすからはもう店を開けることができません。本当に突然の決定でした。今できることを最大限するしかありません」と残念そうに話していました。

ドイツではクリスマスを前にしたこの時期、屋外でホットワインを飲みながら談笑する人たちの姿が多く見られますが、今回の規制で公共の場で飲酒することは禁じられます。

中心部の広場は最後のホットワインを楽しもうという人たちで混雑していて、「クリスマスにはホットワインが欠かせませんが、我慢するしかありません」などと話す女性もいました。

フランス 移動制限緩和もクリスマス休暇で警戒続く

フランス政府は新型コロナウイルスの感染再拡大でおよそ1か月半、外出を制限してきましたが、一定程度、収まったとして日中は自由に外出できるよう制限を緩和しました。

フランス政府は10月末から再び外出を制限してきましたが、経済への影響を抑えるため感染状況を見ながら段階的に緩和していて、先月末に小売店の営業を認めました。

そして15日、感染拡大は一定程度、収まったとして、朝6時から夜8時までは自由に外出でき、ほかの地域にも移動できるよう制限を緩和し、パリではクリスマスに向けてショッピングを楽しむ人の姿がみられました。

ただ1日の感染者数は先月初旬のピーク時のおよそ6万人から減ったものの、最近は1万人前後で推移し、目標の5000人程度には下がっておらず、政府は夜間の外出制限は継続し、開始時間も当初予定していた夜9時からではなく8時からにするとしています。

また今回、再開を予定していた映画館や劇場、美術館は引き続き閉鎖され、飲食店も店内に客を入れての営業は認められていません。

政府の科学諮問委員会はクリスマス休暇をきっかけにまた感染が拡大しかねないとして、家族や友人での集まりは最小限にとどめ、高齢者をはじめ重症化するリスクのある人と会う場合は、事前に1週間、ほかの人との接触を避けるなど引き続き対策を呼びかけています。