ドライアイスの生産体制強化 新型コロナ ワクチン供給で需要増

製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルスワクチンの接種が、アメリカなどで始まったことで、低温での輸送や保存に欠かせないドライアイスの需要が高まっていて、製造機械メーカーが生産体制を強化しています。

ファイザーとドイツの企業ビオンテックが開発した、新型コロナウイルスのワクチンは、マイナス70度前後という低温での管理が必要で、ドライアイスを入れた専用の容器で低い温度を保つようになっています。

このためアメリカではドライアイスの需要が高まっていて、ドライアイスを製造する機械の出荷が増えています。

製造機械の世界最大手で、アメリカ・オハイオ州に本社を置く「コールドジェット」によりますと、ことし1月から先月までのアメリカでの出荷台数は、前の年と比べて90%の増加と、2倍近くになったということです。

感染拡大をきっかけにネット通販の利用が増えたことで、ことし3月ごろから冷凍食品の配送に使われるドライアイスの需要が高まっていて、これにワクチン向けの需要が重なる形になっているということです。

このため会社は、アメリカでの生産体制を通常の2倍にしたほか、今後、需要に応じてヨーロッパなどを含む、世界全体の生産体制も最大で4倍にまで強化する方針です。

「コールドジェット」のウィム・エークラーズ専務は「物流会社や薬局などが自分たちでドライアイスをつくろうと、操作が簡単な製造機械を購入しており、争奪戦とも言える状況になっている。きちんと需要に応えていきたい」と話していました。

物流大手のUPSは、1時間でおよそ540キロのドライアイスを自社で生産する体制を整えたと先月、発表していて、アメリカではワクチン供給の本格化に向けて、ドライアイスの確保も重要になっています。