GoToトラベル 全国一斉に停止へ 今月28日~1月11日 菅首相表明

「Go Toトラベル」をめぐって菅総理大臣は、政府の対策本部で、今月28日から来年1月11日までの間、全国一斉に一時停止する考えを表明しました。

新型コロナウイルス対策をめぐり、政府の分科会が先週、感染状況が高止まりしている地域は「Go Toトラベル」の対象から除外することなどを提言したことを受けて、政府は14日夜、総理大臣官邸で対策本部を開きました。

この中で菅総理大臣は、現在の感染の状況について「全国の感染者数は高止まりの傾向が続き、さまざまな指標から見て、感染拡大地域が広がりつつある。とりわけ医療機関をはじめとして、最前線で対処する方々の負担が増している」と述べました。

そのうえで、菅総理大臣は「分科会の提言を踏まえ、年末年始にかけて、これ以上の感染拡大を食い止め、医療機関などの負担を軽減し、皆さんが落ち着いた年明けを迎えることができるよう、最大限の対策を講じることにする」と述べました。

そして「Go Toトラベル」をめぐって、札幌市と大阪市に加えて、東京都と名古屋市を目的地とする旅行を今月27日まで対象から外し、出発地とする旅行も利用を控えるよう呼びかける考えを示しました。

さらに、菅総理大臣は、今月28日から来年1月11日までの間、全国一斉に一時停止する考えを表明しました。

菅総理大臣は飲食店などへの営業時間の短縮要請について「専門家から感染リスクの高い場面として飲食が指摘されており、さらに延長をお願いせざるをえない状況だ」と指摘しました。

そのうえで、飲食店などに対する、地方自治体の協力金について「年末年始の期間、支援額の単価を倍増し、最大で1か月当たり120万円を支援する。イルミネーションやイベントなどについても感染対策を最優先に検討してほしい」と述べました。

一方、菅総理大臣は「コロナに対応する医療機関で、集中治療室などをはじめ、空きベッドに対する収入補償などの支援策を延長し、さらに拡大する」と述べました。

そのうえで、新型コロナウイルスに対応する医療機関や派遣される医師、看護師への支援を強化し、医師は、1時間およそ1万5000円、看護師は、1時間およそ5500円を補助するほか、看護師が本来の業務に専念できるよう、清掃などの業務の民間事業者への委託を促し、その経費を支援する考えを示しました。

そして、菅総理大臣は「国民の皆さんには、特に飲食については、基本的な感染対策を徹底していただきつつ、年末年始の帰省は、慎重に検討していただき、皆さんが、落ち着いた年明けを過ごすことができるよう、何とぞ、ご協力をお願いをしたい」と呼びかけました。

菅首相「年末年始は集中的に対策講じられる時期」

政府の対策本部のあと、菅総理大臣は記者団に「『GoToトラベル』をスタートさせてから、およそ5000万人に利用してもらっている。始まる前は、地方のホテルや旅館は、2割程度の対前年比稼働率だったが、ようやく7割程度まで回復してきており、地方経済の下支えには大きな役割を果たしている」と述べました。

一方で「専門家から、『ステージ3』の地域では、見直すべきだという提言をいただいた。1日の新規感染者数が3000人を超える中にあって年末年始は、集中的に対策を講じられる時期だと思った」と決定の理由を説明しました。

そのうえで「年末年始には、医療機関の体制も、縮小せざるをえない状況になる。ぜひ、国民の皆さんには、年末年始を静かに過ごしていただき、感染を食い止めることにご協力いただきたい」と述べました。

また、記者団が「GoToトラベルに感染拡大のエビデンスはないという認識は変わったのか」と質問したのに対し、菅総理大臣は「当時、移動によっては感染が拡大しないという提言もあり、そこについては変わらない」と述べました。

さらに、記者団が「緊急事態宣言を出すことは検討しているのか」と質問したのに対し、菅総理大臣は「していない」と述べました。

街の人は

「Go Toトラベル」の全国一斉の一時停止について、JR渋谷駅前ではやむをえないという声が聞かれました。

20代の会社員の女性は「再び感染が拡大するなかで、やっぱり命が大切なので、しかたがないのかなと思いました」と話していました。

20代の会社員の男性は「地元に帰省しようと思っていましたが、キャンセルしようと思います。祖父母が高齢で、あと何回会えるのか分からないので残念です。一時停止にしても、このまま続けても、どちらにしても不利益を被る人がいると思うので、どちらがいいとは言い難いです」と話していました。

また、60代と70代の夫婦は「一時停止は正解だと思いますが、もっと早くやるべきだったと思います。経済対策との兼ね合いが大変だと思いますが、旅行業者などにしわ寄せがこないように対策をしてほしいです」と話していました。