【短観 厳しい景況感続く】冬のボーナス支給ゼロ 会社員は…

新型コロナウイルスの影響で収入が減った消費者は節約志向を強めています。

大阪市に住む28歳の会社員の男性は、学生などに中国への留学先を紹介する旅行会社につとめています。

毎月の給料に加え、毎年、6月と10月の2回、ボーナスが支給されますが、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大で仕事が激減。
ボーナスは2回とも支給されず残業もなくなったため、年収は去年に比べ、およそ130万円減る見込みだということです。

男性は、支出を少しでも抑えようと、まずは食費から削っています。
この日は昼食をとらず、夕食には実家から送ってもらったお米でチャーハンを作って食べました。

休みの日には読書や映画を鑑賞したりして過ごしていましたが、趣味や娯楽にお金を回す余裕はほとんどありません。

生活の足しにネットで動画配信

このため男性は、少しでも生活費の足しになればとインターネットでの動画配信を始めました。

いまの会社に転職する前、地方公務員として働いていた経験をいかし、YouTubeに「じゅん」という名前で「住民税の基礎知識」と題して複数の解説動画を投稿。
視聴回数などに応じて、収入が得られるようになりました。

しかし、その額は月に数千円、多い月でも数万円にとどまり、生活を安定させるまでには至っていないといいます。

男性は、「とにかく節約が第1で、いつまでいまのような生活が続くのか不安です。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、心理的負担がかなり大きいです」と話していました。

ボーナス減少幅 リーマンショックの影響時を上回る予測も

この冬のボーナスを巡っては、1人当たりの平均の支給額が去年より10%余り減り、減少幅はリーマンショックのときを上回るという民間の試算もあります。
調査会社の「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」は、企業の業績や雇用情勢などのデータをもとに企業の冬のボーナスを試算しています。

それによりますと、この冬の民間企業のボーナスは、1人当たりの平均支給額が34万7806円と、去年より10.7%減る見通しです。

減少幅は、リーマンショックの影響で前年比で大きく落ち込んだ2009年の冬のマイナス9.4%を上回ると予測しています。

新型コロナウイルスの感染拡大で企業の業績が悪化していることが最大の要因です。

専門家「GDPの半分以上を占める個人消費への影響懸念」

試算をまとめた小林真一郎主席研究員は「ボーナスの支給をやめる企業も少なくないとみられ、実際の減少幅は一段と大きくなる可能性がある。GDPの半分以上を占める個人消費への影響が懸念される」と話しています。