豪 新型コロナワクチン開発中止 エイズウイルス偽陽性に

オーストラリア政府は、国内の大学とバイオテクノロジー企業が進めてきた新型コロナウイルスワクチンの開発を中止したと発表しました。臨床試験に参加した一部の人からエイズウイルスの検査で感染していないのに陽性となる偽陽性の結果が出たということで政府はイギリスの製薬大手アストラゼネカなどのワクチンを追加購入するとしています。

開発が中止されたのはオーストラリアのクイーンズランド大学がバイオテクノロジー企業「CSL」と開発してきた新型コロナウイルスのワクチンです。

ことし7月以降、200人余りのボランティアを対象に臨床試験を行ってきましたが、一部の人から検査でエイズウイルスに感染していないのに陽性となる偽陽性の結果が出たということです。

クイーンズランド大学のポール・ヤング教授は「ワクチンは安全で効果も出ていたが、エイズウイルスの反応が出た」と話し、このワクチンを接種する場合はエイズウイルスの検査が必要になるとして、実用化に向かないと説明しました。

オーストラリア政府はこのワクチンを5100万回分、購入する計画でしたが、開発の中止を受け、イギリスのアストラゼネカとアメリカのノババックスから合わせて3100万回分のワクチンを追加購入すると発表しました。
モリソン首相は記者会見で「われわれはワクチン確保を注意深く、迅速に進めていくが、不必要に急ぐことはない」と述べ、来年3月にもワクチンの接種を始められるよう準備を進めていく方針を強調しました。