大手旅行会社HIS 最終的な損益250億円の赤字 コロナで需要減

大手旅行会社「エイチ・アイ・エス」のことし10月までの1年間の決算は、新型コロナウイルスの影響で旅行の需要が落ち込み、最終的な損益が250億円の赤字となりました。年間の決算が最終赤字となるのは2002年に株式を上場して以来、初めてです。

「エイチ・アイ・エス」が11日発表したことし10月までの1年間のグループ全体の決算によりますと、▼売り上げは前の年度より46%減って4302億円、▼最終的な損益は250億円の赤字となりました。

年間の決算の最終赤字は、2002年に株式を上場して以来、初めてです。

新型コロナウイルスの影響で海外旅行の需要が消失し、国内旅行もGo Toトラベルの効果が出たのは9月以降で業績を大きくカバーするには至りませんでした。

ことし9月の時点では、最終赤字の見通しを318億円としていましたが、従業員の雇用を維持する企業に支給される雇用調整助成金などでそれ以降に51億円の特別利益を計上した結果、赤字幅は縮小しました。

あわせて公表した新しい会計年度に入った先月から来年1月までの3か月間の業績予想では、最終的な損益を63億円の赤字と見込んでいます。

経営の効率化に向けて、去年10月の時点で国内に259あった店舗を来年1月までに154店舗に削減する計画です。

投資家向けの説明会で、澤田秀雄会長兼社長は「コスト削減とともに、未来の柱となる新規事業を育てたい。年度の後半には黒字にもっていきたい。人員削減はしない方針だ」と述べました。