社会

東京都 年末年始のコロナ医療体制維持で協力金支払いへ

東京都は、休診する医療機関が増える年末年始も新型コロナウイルスの検査や診療の体制を維持するため、期間中に診察した医療機関に協力金を支払う予定で、受け付けを始めています。
都内で新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、多くのかかりつけ医が休診する年末年始に、発熱するなど体調が悪くなった患者が診察を受けられなくなる事態が懸念されています。

このため東京都は、年末年始も検査や診療の体制を維持するため、期間中に診察を行った医療機関に対して協力金を支払う予定です。

今月29日から来月3日までの6日間、いずれか1日、または複数の日に診察した医療機関に対し、4時間当たり15万円を支払う仕組みです。

都は、診察日や診察時間について医療機関からの事前登録を今月7日から受け付けています。

都は、協力金の登録状況をみながら地域で差が出ないよう体制を整えたいとしているほか、東京都医師会とも連携して、都内に60ある地域の医師会に対し年末年始の医療体制の確保を呼びかけています。

放置で感染広げたり重症化したりするおそれ

都によりますと、年末年始に医療機関を開けてもらうために協力金を支払うのは今回が初めてだということです。

都の担当者は「年末年始に医療機関が開いていないことで体調が悪いまま放っておくと、感染を広げたり重症化したりするおそれがある。とにかく早く診察してもらえるように、なるべく多くの医療機関に協力をお願いして体制を整えておきたい」と話しています。

地域医師会 年末年始の診療体制 準備進める

東京都内で新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、都内各地にある地域の医師会では休診する医療機関が多くなる年末年始の診療体制を確保するため準備を進めています。

このうち、175の医療機関が所属する東京・大田区の大森医師会では、現時点ではほぼすべてのクリニックや診療所などが年末年始に休診となる予定です。

このため、抗原検査を受けられる臨時の検査場を医師会の駐車場に設けました。

12月30日から来月3日まで運用する予定です。

検査場に患者が訪れると、検査が必要かどうか判断するためまずは医師が問診します。

必要だと判断された場合は検体を採取します。

結果が出るまでのおよそ15分間は、密にならないよう医師会の建物のなかの広めの会議室などで待機してもらいます。

陽性だった場合、医師は保健所に連絡し、症状が軽い人は自宅に帰ってもらいます。

症状が重く入院が必要だと判断したら入院患者を受け入れている病院に救急車で搬送します。

この臨時の検査場とは別に、交通事故や急な病気などに対応する救急医療がひっ迫しないように、もともと地域で確保していた救急の病院とは別に、発熱患者を専用に診る病院を確保しました。

12月29日から1月3日までの6日間、4つの病院が1日交代で対応します。

臨時の検査場に加えて、発熱患者を専用に診る病院も確保した大森医師会。

こうした体制を敷くのは過去に例がないということで、医師や看護師、検査を行う技師などを確保するために非常に苦労したということです。
大森医師会の藤井大吾会長は、「感染するリスクもあるので呼びかけた全員が積極的に出てきてくれるわけではなかった。その中でも職責を果たそうというスタッフがいたからこそなんとかここまで体制をとることができた。覚悟を決めてやっていくしかない」と話していました。

人員確保など課題

東京都医師会によりますと、医療機関を開けるためには医師だけでなく看護師や事務スタッフも必要で、特に年末年始は多くの人員を一度に確保することが難しいということです。

都内では、それぞれの地域で地元の医師会が中心となり年末年始の医療体制の確保に向けて準備を進めています。

しかし、都医師会によりますと人員の確保などが課題となっていて、現時点では、十分な体制が整ったとはいえないということです。

都医師会では、地域の医師会に対し、できるだけ多くの医療機関で診療してもらえるよう、働きかけを続けることにしています。

特集

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。