新型コロナ 専門家会合「感染者数の減少 成功とは言い難い」

新型コロナウイルス対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が開かれ、感染状況について引き続き最大限の警戒が必要な状況だと評価しました。そのうえで、これまでの対策について「全体として必ずしも新規感染者数を減少させることに成功しているとは言い難い」と評価し、今月中旬をめどに感染拡大が沈静化に向かうかどうか評価してさらなる対策について早急に検討する必要があるとしています。

会合では、最新の感染状況について議論が行われ「新たな感染者の数は過去最多の水準が続いていて、引き続き最大限の警戒が必要」だと評価しました。

北海道や首都圏、関西圏、中部圏を中心に連日多数の感染者が出ているだけでなく、広島県や福岡県、高知県などこれまで多くの感染者が見られなかった地域でも拡大してきているとしています。

専門家会合は、政府や自治体によるこれまでの対策について、北海道など早期に対策に取り組んだ地域で一定の効果があがっている一方、「全体としては必ずしも新たな感染者の数を減少させることに成功しているとは言い難い」と指摘しました。

また医療提供体制について、すでに多数の重症患者などへの対応を続けていることから、たとえば認知症や透析の必要のある患者の入院調整が困難になるなどの影響が出ていて、各地で新型コロナウイルスに対応する医療と、通常の医療との両立が困難な状況が続いているとしています。

そして、現時点では、急速な感染拡大が見られない地域でも、急速な感染拡大が起こりうるという危機感を持ち宿泊療養の施設を含めて医療体制の確保を直ちに進める必要があるとしています。

さらに、医療体制が弱くなる年末年始が近づいているとして、政府や自治体は、新年会や忘年会、帰省などで感染拡大を起こさないようにするため、協力を求めるメッセージを発信することが求められるとしています。

専門家会合は、今月中旬をめどに感染拡大が沈静化に向かうかどうかを評価し、今後の更なる対策について早急に検討する必要があるとしています。

脇田隆字座長は「今後も重症者の数は増加していくとみられる。そうした中でまもなく年末年始をむかえるが、この時期は人員など、医療体制が万全ではない。いま行っている対策で十分な効果が認められない中ではさらなる対策が必要だ」と話しています。

田村厚生労働相「非常に危機感を持っている」

田村厚生労働大臣は、専門家会合の冒頭「非常に危機感を持っている。20代から50代の社会活動が活発な世代は、本人が意識していなくても感染を拡大していると指摘されているので、改めてマスクを着用するなど、社会全体で危機感を共有していかなければならない。これから冬場や正月を迎えるが、気候の変化も感染拡大に影響していると見られるので、気温の低下も念頭に入れながら意見をいただきたい」と述べました。