同性カップルを「結婚相当」と認める制度導入へ 兵庫 明石

兵庫県明石市は、同性のカップルを結婚に相当する関係としたうえで、一緒に暮らす子どもとの家族関係も認める「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を来月から始めることになりました。市によりますと、こうした制度の導入は全国の自治体で初めてだということです。

同性のカップルを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ制度」は5年前に東京・渋谷区や世田谷区で始まり、各地の自治体にも広がっています。

こうした中、兵庫県明石市は、同性のカップルを結婚に相当する関係としたうえで、一緒に暮らす子どもとの家族関係も認め、届け出を受けて証明書を交付する「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を来月8日から始めると発表しました。

明石市によりますと、こうしたカップルの場合、子どもが病院に入院する時や、子どもを学校から引き取る時など、家族としての対応が必要な場合に不都合があるという声が寄せられているということです。

制度に法的な拘束力はありませんが、証明書によって、関係者から理解を得やすくするねらいがあるということです。

明石市によりますと、こうした制度の導入は全国の自治体で初めてだということです。

明石市の泉房穂市長は記者会見で「子どもを含めた全員が自分らしく生きてほしいというメッセージも込められている。関係機関への周知も進めていきたい」と述べました。

今後の制度の広がり期待の声

兵庫県明石市が導入する「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」について、制度の広がりに期待する声が上がっています。

兵庫県宍粟市に住む前田良さんは戸籍上は女性として生まれましたが、性同一性障害で、25歳の時に戸籍を男性に変更しました。

その後、交際していた女性と結婚し、第三者からの精子提供で、平成21年に長男を授かりましたが、当初は「血縁がないことが明らか」として行政から父親と認められませんでした。

最高裁まで争った結果、「血縁関係がなくても父親と認めるべきだ」と認定を受けましたが、長男が生まれてから4年が経過していました。

前田さんは「性同一性障害を理解されず死にたいと思うことは何度もありましたが、父親と認められないことは比べ物にならないほどつらかったです。子どもが生まれた幸せの絶頂からどん底に落とされ続けていました」と振り返りました。

そのうえで明石市の制度について「差別や問題について理解してもらうきっかけにもなると思います。明石市から一歩外に出れば使えないということでは本当の解決にならず国も整備に向けて検討してほしいです」と話していました。

専門家「画期的な一方で課題も」

「ファミリーシップ制度」の導入について、家族法に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は海外と比べても珍しく画期的だと評価する一方で、課題も残されていると指摘しています。

棚村教授は「夫婦など大人だけの横のつながりにとどまらず、親子としての関係、子どもとのつながりまで含めて家族として扱っていくことを打ち出した点では非常に画期的だと思う。同性のパートナーなど多様な家族がいる中で性的少数者を守り子どもも1人の家族として保護していくというもので、海外の流れと比較しても先進的といえる」と話しています。

一方で、「1つの自治体で行う制度であり、自治体を離れたり転居したりすると保護やサービスは受けられなくなってしまう。法的な権利や義務が保障されるわけではないため不平等も起こってしまう。国のレベルでも検討していく必要がある」と指摘しています。