夫がコロナに そのとき妻は…

夫がコロナに そのとき妻は…
「夫コロナ陽性、私と娘(1歳)が濃厚接触者になりました」

今月投稿されたある女性のツイートがSNS上で拡散しました。感染した夫が発熱後、ホテルで療養するまで4日間、自宅で一緒に過ごすことになった家族3人。妻と娘は感染を免れました。妻は家庭内感染をどう防いだのでしょうか。(アナウンサー 塩田慎二)

突然訪れた危機 4日間の闘い

投稿したのは、北海道に住むあさりさんです。
11月下旬、体調がすぐれないと少し早く帰ってきた夫。体温を測ると37度でした。
「コロナなら怖いね」夫婦でのんきに話をしていると、夫の会社から驚きの連絡が入りました。同僚が新型コロナに感染し、夫が濃厚接触者になった、というものでした。夫婦ともに一瞬で青ざめ、即座に夫を別の部屋に隔離したといいます。

夫がPCR検査を受けることができたのはそれから2日後。
その翌日、陽性の結果が出て、後日ホテル療養となりました。

感染した夫と4日間、自宅での生活を余儀なくされた妻と1歳の娘。
「そりゃ家庭内感染が止まらない訳だよな…」そう思ったといいます。それでも、家庭内感染を防いだ秘けつは夫が発熱した時に取った迅速な対応でした。

夫の隔離 迅速な対応

夫を隔離したあさりさんが近くに住む母親にまず購入を依頼したのが、▽消毒用アルコール、▽使い捨てのゴム手袋、▽紙皿、▽割り箸、▽レトルト食品でした。
そして、夫はトイレ以外は隔離した部屋のドアを開けないこと。
1歳の娘が誤って扉を開けないよう、机と空気清浄機を置いてブロックしました。
夫のトイレが終わったら、そのたびにトイレ、ドアノブなどを消毒。お互いマスクをつけ、換気も頻繁に行う。夫は4日間、お風呂を我慢していたということです。

食事と洗濯

食事は紙皿と割り箸を使いました。食事を終えると隔離している部屋でそのままごみ袋に捨ててもらい、しっかり封をしました。また、脱いだ下着などはごみ袋に入れてもらい、隔離が終わってからまとめて洗濯。

なぜ対応できた?

なぜこうした対応ができたのか。

それは、妊娠中に夫がインフルエンザにかかったときに自宅で隔離をした経験が大きかったといいます。
そして、参考になったというのが厚生労働省のホームページにあった家庭内で注意してほしい8つのポイントでした。

備えておけばよかったもの

一方、あさりさんが備えておけばよかったと思う物もありました。
▽家庭用の塩素系漂白剤
▽消毒用アルコール
▽ゴム手袋
▽防護服代わりになる大きめのごみ袋
▽レトルト食品
▽ネットスーパーの登録
ネットスーパーの登録をしていなかったあさりさん。
突然のことで食材のストックがなく、幸い親族に買い出しを頼むことができましたが、もしそれが無ければ、どうしていたことかと思うそうです。

感染への備え不十分と痛感

あさりさんと長女がPCR検査を受けることができたのは、夫の発熱から6日後。結果、2人とも陰性でしたが、検査を受けるまでの1週間近く、「もし陽性だったら」という不安が続き、精神的に大きな負担がのしかかりました。

ちなみに夫の感染は、会社の同僚と乗った車の中で軽食をとったのが原因とみられているということです。

夫は軽症でおよそ1週間ホテルで療養、あさりさんは1歳の長女と不安のなか2週間、隔離のため自宅から一歩も外に出ずに過ごしたといいます。
あさりさん
「とにかく未知のもので、怖くて不安でした。よく動きまわり、なんでも口に入れる1歳児がいるので、とにかく子どもに感染しないよう細心の注意を払いました。夫は軽症でもっと大変な家庭もあるのにうちは恵まれていると思います。インフルエンザの時の経験が今回は生かされましたが、それでも感染した時の備えは不十分だったと痛感しました」

対応は正しかった?専門家に聞いた

あさりさんの対応は正しかったのか。
感染症対策コンサルタントの堀成美さんに聞きました。
感染症対策コンサルタント 堀成美さん
「夫が発熱した時点で、迅速に対応したのがよかったと思います。PCR検査で陽性が出てからではなく、体調が悪い人が家族で出た時から適切な対応をすることが家庭内で感染を拡大させないために重要です」
そして、「適切に対応すれば過剰に神経質になる必要はありません」としたうえで次のような注意点を教えてもらいました。

消毒は必ずしもする必要はありません。
▽食事
使い捨ての皿や箸でもよいですが、ふだん使っている食器でも問題ありません。食事のあとは通常の家庭用洗剤で食器を洗って、最後に手洗いをしてください。

▽洗濯
汚れた衣類はマスクを着用して扱ってください。そして通常の家庭用洗剤で洗濯して最後に手を洗ってください。

▽風呂
感染してもシャワーや風呂は入っても問題ありません。浴室を使ったあとは、家庭用洗剤でシャワーヘッドなどよく触るところを洗います。消毒はかならずしもする必要はありません。

感染後 一定期間は自宅で?

もし感染したら、一定の期間は自宅で家族と過ごさざるをえないのでしょうか。あさりさんが住む自治体の保健所に問い合わせると次の答えが返ってきました。
「この自治体では宿泊施設で療養する場合は、PCR検査の結果、本人に陽性を伝えてから2日以内が基準です。発症から4日で施設療養ができたのは比較的早い対応だと思います。発症してもその程度の期間は、自宅で過ごすものだと思って備えてほしい」

家庭内感染の増加 対策呼びかけ

家庭内感染の増加から東京・港区では12月、新たに家庭向けの予防対策をまとめ、注意を呼びかけています。
家庭ではマスクをしないほか、空間が狭い、そして、同じものを共有することが多く感染が広がりやすい特徴があるといいます。
家族の体調が悪くなった時に対応してほしいのは、主に次の5点です。
▽適切な距離をとりましょう
▽互いにマスクを着用しましょう
▽来客はお断りしましょう
▽ティッシュ等のごみを捨てる時はごみ袋をしばりましょう
▽シャワーやお風呂は体調が悪い人が最後に入りましょう
そして、ふだんから家でできる5つの工夫です。
▽他の人の食べ残しを食べないようにしましょう
▽みんなで一緒に使うもの(歯磨きコップなど)は、使用後によく洗いましょう
▽直接口をつけるもの(スプーンなど)の共有(回し飲みなど)は避けましょう
▽家に帰ったら手を洗いましょう
▽換気をしましょう

「もう誰もこんな思いをしないように」

家庭内感染を防ぐことができたあさりさんに今回の経験をなぜSNS上に投稿したかたずねました。
あさりさん
「できればもう誰もこんな思いをしないように、何かの役に立てたらと思いました。私たちができることは、感染しないようひとりひとりが意識して感染対策を行うこと。ここに尽きると痛感しました。対岸の火事のように思っていましたが、本当にいつ誰がかかってもおかしくない状況です。だからこそ正しく恐れて行動したいと思いました」