新たな経済対策に73.6兆円 実施に全力 菅首相

8日決定する新たな経済対策について、菅総理大臣は、政府与党政策懇談会で、財政支出が40兆円程度、事業規模が総額73兆6000億円程度になることを明らかにし、実施に全力を挙げる考えを示しました。

総理大臣官邸で開かれた政府与党政策懇談会には、菅総理大臣のほか、自民党の二階幹事長や公明党の山口代表らが出席しました。

この中で、菅総理大臣は、8日決定する新たな経済対策について、「国民の命と暮らしを守るために、雇用を維持し、事業を継続し、経済を回復させ、グリーンやデジタルをはじめ、新たな成長の突破口を切り開くべく策定した」と述べました。

そのうえで、医療機関や高齢者施設などへの支援のほか、企業の資金繰り支援、グリーン投資を大きくするための基金などを盛り込むとともに、十分な額の予備費を確保したと説明しました。

そして、菅総理大臣は、「合わせて財政支出40兆円、事業規模73兆6000億円の対策となっている。今後、各省庁一体となって、新たな経済対策の実施に全力を挙げていく」と述べました。

麻生副総理・財務相「民需主導の好循環へ切り替えを」

麻生副総理兼財務大臣は、8日の閣議のあとの記者会見で「官主導ではおのずと限界があり、民需主導の好循環へと切り替えなくてはならない」と述べました。

その上で、新型コロナウイルスへの対応で財政状況が悪化していることについて「財政再建と財政支出を伴う経済対策は二律背反しているような話でもある。新型コロナを乗り越えて、次の時代に行くためには、経済再生と財政再建を両立するのはわれわれの責任だ」と述べ、歳出と歳入の両面から改革に取り組む考えを改めて強調しました。

加藤官房長官「Go To切れ目なく」

加藤官房長官は、記者会見で「Go Toトラベル」の当面の予算不足を予備費で補うことについて「観光庁が、旅行業者などに最近の販売状況や当面の販売見込みについてヒアリングしたところ、現在の予算では、事業期間の目安としていた1月末まで予約販売を継続することが難しくなると見込まれている。切れ目なく事業を実施していくため、予備費の活用が必要になってくる」と述べました。

自民 二階幹事長「何としても国民生活を最重要視」

自民党の二階幹事長は、記者会見で「今の段階では、何としても国民生活を最重要視して考えていかなければならない。そのために、政府はあらゆる対策を講ずるべきだし、党としても全力を傾けたい」と述べました。

公明 山口代表「提案盛り込まれ評価」

公明党の山口代表は、政府与党政策懇談会のあと、記者団に対し「公明党が提案した、医療体制のひっ迫を招かないための対応策や雇用調整助成金の延長などをしっかり手当てするとともに、デジタル化やグリーン化の2つの柱のもとに希望につながる対応策を盛り込んだことを評価したい。新型コロナウイルスの感染状況は先が見えず、予備費を確保し切れ目のない予算執行ができる基盤を作ったことも大事だ」と述べました。

立民 福山幹事長「まずは、予備費活用し支援を」

立憲民主党の福山幹事長は、記者会見で「まずは、いま、まだ残っている予備費を活用して、厳しい状況にある医療機関や生活困窮者などの支援を足下で行うべきだというのがわれわれの考え方だ。本来なら、予備費で早くやらなければいけない施策を、第3次補正予算案などに盛り込もうとしている可能性も否定できず、精査していかなければいけない」と述べました。

共産 小池書記局長「砂上の楼閣のような経済対策」

共産党の小池書記局長は、記者会見で「国民などから年を越せないという悲鳴が上がっている。追加の経済対策は、予算として成立して現場に届くのは早くても来年3月以降で、緊急の支援策になっていない。今7兆円も残っている予備費については『適時、適切な執行』というだけで、まともな活用策も示さず、まさに砂上の楼閣のような経済対策だと言わざるをえない」と述べました。