政権移行進めるバイデン氏 新型コロナ対応の閣僚人事を発表

アメリカ大統領選挙で勝利を宣言したバイデン前副大統領は、新政権の厚生長官など最優先課題とする新型コロナウイルスへの対応を担う閣僚らの人事を発表しました。

大統領選挙で勝利を宣言し、政権移行の作業を進めるバイデン氏は7日、保健政策を担う閣僚らの人事を発表しました。

それによりますと、厚生長官には西部カリフォルニア州で司法長官を務めているヒスパニック系のハビエル・ベセラ氏を指名するとしています。

ベセラ氏は、オバマ政権が導入した医療保険制度、いわゆる「オバマケア」の存続を求める各州の訴訟を主導してきたことで知られています。

また、アメリカの感染症研究の第一人者で、トランプ政権の新型コロナウイルス対策チームの中心人物である、アンソニー・ファウチ博士を新型コロナ対策に関する大統領首席医療顧問に起用するとしています。

そのほか、CDC=疾病対策センターの所長に、ロシェル・ワレンスキーハーバード大学教授を、アメリカ政府で公衆衛生政策を担う医務総監に、オバマ政権でも医務総監を務めたインド系のビベック・マーシー氏を起用するとしています。

バイデン氏は声明で、「世界トップクラスの医療専門家によるこのチームは、新政権発足初日からマスクの着用を広め、ワクチンの安全かつ公平な供給を担う準備ができている」として、最優先課題と位置づける新型コロナウイルスへの対応に、全力をあげる方針を強調しました。

就任式の実行委員長に黒人有力議員

来年1月に予定されているバイデン氏の就任式について、7日、実行委員会のメンバーが発表されました。

それによりますと、委員長は、民主党の下院ナンバースリーで、黒人有力議員のクライバーン院内幹事が務めます。

クライバーン氏はことし2月、民主党の候補者選びの序盤でバイデン氏が出遅れた後、支持を表明し、バイデン氏はこれをきっかけに選挙戦を巻き返したことで知られています。

7日に発表された委員会の5人のメンバーには、新型コロナウイルスへの対応をめぐり、トランプ大統領と激しく対立したミシガン州のホイットマー知事や、副大統領候補の選考にも関わったロサンゼルス市のガルセッティ市長が、名を連ねています。

また、クライバーン氏を含め3人が黒人で、バイデン氏としては大統領選挙での勝利を支えた黒人層への配慮を示すねらいがあるとみられます。

就任式をめぐってバイデン氏は、新型コロナウイルスの感染対策として大規模なパレードを行わず、オンラインのイベントを取り入れるなど、規模を縮小して実施する考えを示しています。