パリ五輪 “ブレイクダンス”実施へ 「野球」「空手」は外れる

2024年夏のパリオリンピックで、ダンススポーツの「ブレイキン」が新たに実施されることになり、東京大会で採用された「野球・ソフトボール」「空手」は正式に外れました。

これは7日に行われたIOC=国際オリンピック委員会の理事会で決まりました。

このなかで2024年に開かれるパリ大会の組織委員会から追加競技として提案されていた「ブレイキン」、「サーフィン」、「スケートボード」、「スポーツクライミング」の4つの競技の実施が正式に承認されました。

このうち「ブレイキン」は初めてオリンピックで採用され、残る3つの競技は東京大会に続いて実施されます。一方、組織委員会から提案されなかった「野球・ソフトボール」と「空手」は、パリ大会の実施競技から正式に外れました。

また、パリ大会では経費をおさえた大会を目指して、競技は東京大会より1つ少ない32、種目は10減って329となり、参加する選手の数は史上最多となる東京大会よりおよそ600人少ない1万500人となります。

最大の削減となったのは、たび重なるドーピングの問題などを抱えるウエイトリフティングで、男女合わせて4種目が削減され、選手数も東京大会から76人減って120人となりました。

また、初めて出場選手の男女の比率が1対1となるほか、若い世代に関心を持ってもらおうとさまざまな障害物を、体一つで乗り越える新しいスポーツ「パルクール」など、将来のオリンピック競技入りを目指すアーバンスポーツの大規模なイベントを開催することも決めました。

バッハ会長は、今回の決定について「パリ大会を、ポストコロナ時代にふさわしいプログラムにした。さらなる経費削減にもつとめていく」と話しました。

ユースオリンピックのブレイキンで銅メダルを獲得した18歳の半井重幸選手は「率直にすごくうれしく思います。新たに大きなモチベーションにつながる目標が増えたこと、またブレイキンが好きなひとりの人間として、たくさんの方々にブレイキンを知ってもらえるすばらしい機会ができたことをとても嬉しく思います。今後の活動を通して、より多くの方々に魅力を伝えられたらと思っております」とコメントを出しました。
去年の世界選手権で優勝した21歳の湯浅亜実選手は「私にとってブレイキンは自分自身を表現するアートのようなもので、最初ブレイキンがスポーツの大会の一つになると知った時は驚きました。ブレイキンがオリンピックに採用されることで、いろんなことが変わると思いますが、私自身は今まで通り自分らしく、楽しく、目の前にあることに全力で挑んでいきたいです」とコメントしました。

日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス本部の石川勝之本部長は「こんなにも早く採用されると思っておらず内心、驚いている部分もあります。ブレイキンはもともと「スポーツ」ではなく「カルチャー」として長年、発展してきたもので、世界中で体制が作られておらずユースオリンピックを機に世界中のブレイキンに関わるメンバーと手を取り合い、オリンピックに採用される日に備えて体制づくりに取り組んできました。日本の選手は近年、世界大会で優勝を含む好成績を連発しており、パリオリンピックでもメダルを取れるレベルの選手がたくさんいるのでパリで男女ともに金メダルを取れるよう、しっかり強化するとともに、『カルチャー』としてのブレイキンの発展にも尽力していきたいです」とコメントしました。

ブレイキンとは

ブレイキンは、ヒップホップなどの軽快な音楽に合わせて交互に演技を披露し、技術や表現力、完成度などを競う新しいダンススポーツで、一般的にはブレイクダンスとして知られています。

選手が1対1で対戦する個人戦とチームを組んで対戦するチーム戦があります。
ダンスは、
▽立ったままステップを踏む「トップロック」、
▽かがんで地面に手をつき、素早い足さばきを見せる「フットワーク」、
▽背中や肩、頭など体のさまざまな部分でアクロバティックに回転する「パワームーブ」、
▽体の動きを止めてポーズをとる「フリーズ」という4つの要素からなり、演技終了後にジャッジによる採点が行われ勝敗が決まります。
「ブレイキン」は若者に人気があり、世界各地で大会が開かれてきましたが、2018年にブエノスアイレスで開かれたユースオリンピックで正式に採用され、多くの観客を集めました。そうした成功が評価され、2024年に開かれるパリオリンピックで追加競技に採用されました。

日本には、ユースオリンピックで銅メダルを獲得した18歳の半井重幸選手や去年の世界選手権で優勝した21歳の湯浅亜実選手など、男女に世界トップクラスの選手がいて、パリオリンピックでのメダル候補として期待されています。

スポーツクライミング 計4種目に増加

スポーツクライミングは、初めて実施される東京大会に続き、パリ大会でも追加競技として採用されました。

種目は、東京大会では、スピード、ボルダリング、リードの3つで総合成績を争う複合だけでしたが、パリ大会では、ボルダリングとリードの2つの総合成績で争う複合に変更され、スピードが単独の種目となりました。複合とスピードは、男女それぞれ行われ、スポーツクライミングは合わせて4種目に増えました。

東京オリンピック代表に内定している楢崎智亜選手は「僕にとって新しい目標ができた。パリでは両方の種目で日本代表として出場できるようさらに自分のクライミングを磨いていく。また、来年の東京大会でも初代王者となり世界中の人にこの競技にもっと興味を持ってもらえるよう精力的に活動していきたい」とコメントを発表しました。

また、日本山岳・スポーツクライミング協会の平山ユージ副会長は「選手にとってはさらなる夢の舞台に心を躍らせていると思う。この喜びをパリ大会の舞台で思う存分発揮してほしい」とコメントしています。

スケートボード競技団体「魅力をさらに先に」

スケートボードは、初めて実施される東京大会に続きパリ大会でも追加競技として採用されました。
種目は、東京大会と同じく男女それぞれのストリートとパークで合わせて4種目です。スケートボードの競技団体、ワールドスケートジャパンの初瀬武美会長代行は「東京大会への採用が決まってから、子どもたちだけでなく生涯スポーツとしてスケートボードを楽しむスケーターが増えている。この魅力を2024年、さらにその先に広げていく」とコメントを発表しました。

パリ五輪で種目の変更は

2024年夏のパリオリンピックで実施される競技は東京大会より1つ少ない32、種目は10減って329となります。

東京大会から種目の変更があった競技は陸上、射撃、カヌー、ウエイトリフティング、ボクシング、セーリング、それにスポーツクライミングの7競技です。

このうち、ウエイトリフティングでは男女それぞれ2種目の合わせて4種目が削減され、ボクシングでは男女の種目数を同数にするため男子が1種目減って女子が1種目増えます。いずれの競技も体重別に階級が設定されますが、新しい階級は来年末までに設定される見通しです。

この2つの競技については、国際競技団体の組織運営の不備や相次ぐドーピングなどが指摘されていることを受け、選手数が東京大会よりも大幅に減らされることになりました。

このほか、陸上では、男子50キロ競歩がなくなり、代わりにトラックまたは競歩の混合種目が1種目追加されます。

カヌーでは、スラロームで新たに男女のエクストリームスラロームが追加された一方で、スプリントのカヤック200メートルが男女とも廃止されました。

セーリングでは男女別で行われてきた2人乗りの470級が混合の1種目に変更されるほか、ウインドサーフィンのRSX級は艇の形状が異なるiQFoil級に変更されます。また、フィン級が廃止され、混合種目が2つ増えます。

射撃では東京大会で新設された混合トラップが、パリ大会では混合スキートに変更されました。

このほか、追加競技として承認されたスポーツクライミングは東京大会ではスピード、ボルダリング、リードの3つで総合成績を争う複合の1種目だけでしたが、パリ大会では、複合がボルダリングとリードの2つの総合成績で争う方式に変更され、新たにスピードが単独の種目となりました。

全体を通して男女混合の種目が東京大会から4つ増え、22種目となり、大会史上初めて、参加する男女の選手が初めて同数となります。

王貞治さん「世界に野球のすばらしさもっと伝えないと」

「野球・ソフトボール」がIOC=国際オリンピック委員会の理事会でパリ大会の実施競技から正式に外れたことについて、プロ野球で4年連続日本一を達成したソフトバンクの王貞治球団会長は「もし開催するとなると野球場がなく、新たな施設を作らなければならない。情熱があるかないかで違ってくる。世界で見ると野球をやっている国の方が少なく、われわれはもっとそういう国の人たちにも理解してもらえるように野球というスポーツの素晴らしさを伝えていかないといけないと改めて感じた次第だ」と話していました。

ダンススクールでは喜びの声

2024年のパリオリンピックで新たに実施される競技にダンススポーツのブレイキンが初めて採用されたことを受けて、千葉県内のダンススクールでは子どもたちから喜びの声があがりました。

千葉県市川市のダンススクールでは8日午後5時すぎに講師がオリンピックの正式種目にブレイキンが採用されたことを伝えると、この教室でブレイキンを習っている子どもたちから歓声や拍手があがりました。

このあと、レッスンが始まると子どもたちは軽快な音楽に合わせて踊りながら背中や肩などを使って体を回転させたり、体の動きを止めてポーズをきめたりする、ブレイキンならではの技に挑戦していました。

競技を始めたばかりの小学6年生の男の子は「オリンピックの競技に決まって本当にうれしい。テレビですごい選手の技を見てみたい」と笑顔で話していました。

また、競技を始めて1年の小学6年生の男の子は「ブレイキンはいろんな技ができるようになるのがおもろい。オリンピックに出られるかは分からないけどもっと上達したい」と話していました。

講師を務めるダンサーのbolteさんは「オリンピックをきっかけに競技の楽しさを知ってもらいたいし、1つの目標になると思うので、多くの子どもたちに競技に挑戦してほしい」と話していました。