技能実習生など集めた違法賭博の実態 SNSで参加者募る

日本で働くベトナム人技能実習生などをSNSで集め、違法な賭博が各地で行われている実態があることが関係者への取材やNHKが入手した映像で明らかになりました。犯罪グループが関わっているとみられ、支援団体や警察は安易に参加しないよう呼びかけています。

NHKが入手した違法賭博の映像です。

行われているのは「ソック・ディア」と呼ばれるベトナムの丁半ばくちで、ことし夏に愛知県内のマンションの部屋で撮影されました。

映像では胴元と呼ばれる人物の掛け声で参加者が1万円札を何枚も賭けている様子が確認できます。

関係者によると多い時には100人ほどが集まり警察を警戒して開催場所は頻繁に変わるということです。

参加者はSNSを通じて集められ新型コロナウイルスの影響で仕事がなくなったり解雇されたりした技能実習生が「簡単にもうけられる」などとして誘われるケースも多いということです。

賭博に参加したことがあるベトナム人実習生は「違法だとは分かっていたがコロナの影響で貯金が無くなりベトナムで暮らす家族にも仕送りができていなかったのでお金を増やそうと思って参加した。結果的には借金がさらにかさみ今では軽率だったと反省している」と話しています。

主催しているグループについては「さまざまな犯罪に関わっているマフィアのような集団だった。賭博のほかにマネーロンダリングなどの仲介も請け負っていた」と話しています。

こうした違法賭博は各地に広まっているとみられ、ことし10月には大阪で賭博による借金トラブルで客の男性の指を切断したとしてベトナム人の男が逮捕される事件も起きています。

警察が警戒を強めるとともに、外国人実習生の支援団体などは安易に参加しないよう呼びかけています。

賭博に参加した実習生の証言

違法賭博に参加したことがある20代のベトナム人の実習生がNHKの取材に応じました。

2017年に技能実習生として来日し建設会社で働いていましたが、働く環境が厳しく職場から逃げ出したということです。

その後、知人の紹介で大阪や愛知などの自動車部品の工場でアルバイトをしていましたが、ことしに入ってからは新型コロナウイルスの影響で、仕事がなくなり貯金もほとんどない状態だったいうことです。

そして6月に、SNSで賭博の参加者を募る投稿を見つけ10万円を借りて参加したといいます。

実習生は「多い時は一晩で100人の参加者がいた。違法とは分かっていたが新型コロナの影響で貯金がなくなりベトナムで暮らす家族にも仕送りができていなかったのでお金を得ようと思って参加した。結果的には借金がさらに増えて今では軽率だったと反省している」と話しています。

賭博を主催しているグループについては、「さまざまな犯罪に関わっているマフィアのような存在だった。マネーロンダリングなどの仲介も請け負っていて高い手数料を得ていた」と話し、賭博に参加したことなどをその後、警察に相談したということです。

NPO「誘いに安易に乗らないよう注意を」

日本で働くベトナム人を支援しているNPO法人「日越ともいき支援会」の代表、吉水慈豊さんは「新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、仕事を失う技能実習生が相次いでいて、生活が困窮してお金を増やそうとSNSで誘われた賭博に参加するケースも急増している」と指摘しています。

そのうえで、「技能実習生を巻き込む犯罪グループも多く、違法な賭け事などの誘いに安易に乗らないよう注意してほしい」と呼びかけています。