新型コロナ 専門家会合「引き続き最大限の警戒が必要」

新型コロナウイルス対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が開かれ、感染状況について「引き続き最大限の警戒が必要な状況」だと評価しました。また、重症患者の増加によって、各地で新型コロナウイルスの診療と通常の医療との両立が困難になり始めているとして、強い危機感を示しました。

会合では、最新の感染状況について議論が行われ、「新たな感染者の数は、過去最多の水準が続いていて、引き続き最大限の警戒が必要」だと評価しました。

北海道や首都圏、関西圏、中部圏を中心に、連日多数の感染者が出ていて、感染の状況を見る指標となる、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」は、全国で流行が拡大に向かうとされる「1」を超える水準が続き、北海道や東京都、愛知県などでは、1週間の平均でも「1」を超え、感染拡大が続いているとしています。

専門家会合は、20代から50代の人が、移動に伴って他の人に感染させるケースが他の世代より多くなっていて、無症状や軽症のことが多いため、本人が意図しないまま感染拡大につながっている可能性があるとしています。

また、医療体制について、一部の地域では、入院の調整が困難になり、予定された手術や救急の受け入れが制限されているほか、専門の異なる医師が、新型コロナウイルスの診療をせざるをえなくなるようなケースも見られ、「各地で通常の医療との両立が困難になり始めている」と強い危機感を示しています。

そして、重症化リスクの高い人の治療を重点化して行うために、医師が入院の必要がないと判断した無症状や軽症の人は、高齢者も含めてホテル療養などとすることが必要で、国は、具体的な調整方法を共有するとともに、医療体制がひっ迫している地域への医療スタッフの派遣などの支援を行うべきだとしています。

さらに、これまで大きな感染が見られなかった地域でも、感染の発生が見られ、特に医療提供体制がぜい弱な地域では、急速な感染拡大に備えて、医療体制の確保を直ちに進める必要があると指摘しています。

脇田座長「これ以上の感染拡大を止めていくことが必要」

脇田隆字座長は「重症者の増加傾向は、仮に新たな感染者の増加傾向が鈍化しても続くため、今後、医療への負担がさらに高まっていくことを懸念している。感染拡大が続いている地域では、酒を提供する飲食店への営業時間短縮の要請や外出の自粛、リモートワークの徹底のほか、感染を広げやすい若い世代に対策を徹底するように呼びかけることなどを通じて、これ以上の感染拡大をなんとか止めていくことが必要だ」と話しています。

田村厚生労働相「社会全体で危機感共有し対処を」

田村厚生労働大臣は、会合の冒頭、「非常に危機感をもって対応しないといけない。確保病床を最大限に活用するため、現場の運用を最適化することや、感染拡大時の入院基準の運用を具体化すること、退院基準を満たした患者の受け入れ先の確保、院内感染時における医療機能の早期再開についても意見をいただきたい」と述べました。

そのうえで、「重症者や亡くなる人を可能なかぎり防ぎ、感染拡大防止も含めて、医療の体制整備を進めていきたい。社会全体で、共通の危機感を共有して、一丸となって対処することが求められる」と述べました。

感染者が他の人に感染させる可能性がある期間は

専門家会合では、新型コロナウイルスに感染した人が、他の人に感染させる可能性がある期間について、国立感染症研究所がまとめた最新の知見が報告されました。

それによりますと、新型コロナウイルスは、患者が発症する2日前には、他の人に感染する可能性があると推測されていて、発症3日前の患者に接触して感染したケースも報告されているということです。

いつまで感染させる可能性があるかについては、これまでの調査から、発症から6日目以降の患者の濃厚接触者では、発症した人はいないとされるということです。

その一方、PCR検査でウイルスの遺伝子が検出される期間は、発症の13日前から1か月間以上続くことがあり、高齢者や重症の患者、それに免疫不全のある患者では、さらに長い期間検出されることが報告されているとしています。

ただ、発症から10日後以降に感染性のあるウイルスが、鼻や口、のどから検出されたという報告は、確認されていないということです。