イギリス 来週前半ワクチン接種開始へ 課題は温度管理

イギリスでは、アメリカの製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルスのワクチンの接種が、来週前半に始まる見通しです。まずは、80万回分が供給される見通しですが、このワクチンは、輸送などの際、マイナス70度前後の低温での管理が必要で、この課題への取り組みが始まっています。

イギリス政府は、ファイザーとドイツの企業ビオンテックが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて安全性と有効性が確認されたとして承認し来週前半から接種が始まるという見通しを明らかにしています。

ワクチンは、ベルギーの製造拠点から、80万回分がまず供給される予定ですが、このワクチンの一定期間以上の保存には、マイナス70度前後という低温での管理が必要でジョンソン首相も2日、記者会見でワクチンの輸送や保管には大きな課題があるという考えを強調しています。

この点についてファイザーは、ドライアイスを入れることで開封しなければ10日間、マイナス70度を保ったまま輸送が可能な容器を開発したとしていて、今回、イギリスの規制当局は、国内にワクチンが運び込まれた時点で、品質に問題がないか確認を行うということです。

ワクチンは適切な温度管理ができないと、効果が失われてしまうおそれがありますが、ファイザーは開発した容器にはGPSで追跡可能な温度センサーがついていてワクチン接種の拠点などに輸送する際も24時間、位置や温度を追跡できるとしています。

一方で、このワクチンは、通常の冷蔵庫の温度にあたる2度から8度では、保存期間が5日間とされていて、イギリス政府は、接種開始後しばらくは、適切な温度管理が可能な設備が整っているNHS=国民保健サービスの医療施設などで接種を行う見通しです。

ジョンソン首相は、ワクチンの接種計画をイギリス史上始まって以来のものだと位置づけ、準備を万全に整えていくとしています。