北海道 旭川 クラスター発生病院が感染拡大の経緯など公表

大規模な新型コロナウイルスの、感染者の集団=クラスターが発生している旭川市の病院が、ホームページ上で感染拡大の経緯としてこれまでの対応を公表しました。ほかの病院などの協力で体制の立て直しを図っているとする一方、保健所など関係機関の対応に疑問を投げかけています。

旭川市にある慶友会吉田病院では、11月6日に初めて感染者が確認されたあとクラスターが発生したと発表され、患者と看護師の感染は3日までの1か月足らずの間に167人に拡大しました。

吉田病院は、ホームページ上で院内の状況などを公表していて、2日は「ギリギリの状態での対応を余儀なくされております」と厳しい現状を伝えています。

そのうえで、入院中の10人の患者を5つの病院で引き受けることが決まったほか、4日から看護師2人が応援に入ることになり「体制の立て直しが図れるものと信じて感謝しております」としています。

これに先立ち病院は1日、「これまでの経緯」として、病院と関係機関の対応を公表しました。

このうち、旭川市保健所については「感染者の他病院への転院調整について、保健所に強く要請を続けてまいりましたが、結果的にそれはかなわず、多くの患者が院内にとどめ置かれることになり、クラスターの拡大を招く結果となりました」と指摘しています。

また、転院調整が進まなかった理由の1つとして、旭川医科大学病院による感染患者の受け入れ拒否の方針があったとしたうえで「クラスター発生と同時に、それまで当院に派遣していた非常勤医を、自院都合でいっせいに引き上げるという措置をとった。『医療崩壊』の引き金をみずから引くことに他なりません」として、対応を批判しています。

旭川市については、自衛隊の看護師の災害派遣要請を北海道に依頼してほしいと要請したのに対し、市長から却下されたとして「ここでも対応が遅れる事態となり、その後の更なる感染拡大を招く事態となりました」として対応に疑問を投げかけています。

旭川市保健所「全患者受け入れ困難」

吉田病院の指摘について、旭川市保健所の浅利豪新型コロナウイルス感染症対策担当部長は、2日の記者会見で、「すべての患者を他の院で受け入れることは難しいなかで、それぞれの病院の状況を勘案しながら調整を進めてきた」と述べました。

保健所によりますと、現在は吉田病院の感染者50人から60人を、保健所の調整によって基幹病院に転院させているということです。

旭川医科大学病院「拒否した訳ではない」

吉田病院の指摘について、旭川医科大学病院は「ほかの基幹病院との取り決めで、重症の感染者を受け入れることになっていたためであり、受け入れを拒否した訳ではない」とコメントしています。

また、非常勤の医師を引き上げたことについて「新型コロナウイルスの院内感染が1か月以内に発生した外部の病院での勤務は、大学のルールで禁止されている。これに基づいて吉田病院での勤務をやめてもらった結果だ」と説明しています。

旭川市「北海道の見解に従った」

吉田病院の指摘について、北海道旭川市の西川将人市長は2日の記者会見で「北海道に自衛隊の看護師などの派遣要請が可能かどうか確認したところ、すぐに判断するのが難しいということだったので、旭川市もその見解に従った。私の権限ではどうにもならないことなので、私のせいだと言われたらしかたない」と述べました。