韓国 大学進学の試験 新型コロナ対策をとり実施

韓国では、日本の「大学入学共通テスト」にあたる大学進学のための試験が行われています。新型コロナウイルスの感染が再び広がる中、試験会場のすべての机についたてを設置するなど、さまざまな対策がとられています。

韓国の「大学修学能力試験」は、日本の「大学入学共通テスト」にあたるもので、3日午前、全国の1300余りの会場で始まり、およそ49万人が受験しています。

このうち、首都ソウル中心部にある試験会場には、厳しい寒さの中、受験生たちが緊張した面持ちで次々と到着していました。

韓国では先週、1日当たりの感染者が500人を超え、2日は540人が確認されて、ことし3月以来の水準になるなど再び感染が広がっていて、政府は、規制を強化しています。

今回の試験でも、受験生はマスクの着用が義務づけられ、すべての受験生の机にはついたてが設置されたほか、感染が確認された受験生は病院で試験を受けられるようにするなど、さまざまな対策がとられています。

試験会場の前では、大勢の後輩たちが集まって受験生を応援するのが恒例ですが、ことしは政府が自粛を呼びかけ、応援はとりやめとなりました。

受験生の1人は、「不便なこともありますが、集中すれば大丈夫だと思います。応援がないのは残念ですが、しかたないです」と話していました。

ムン大統領「応援しています」

試験を前に2日、ムン・ジェイン(文在寅)大統領はSNSに受験生たちへのメッセージを投稿しました。

この中で、ムン大統領は「試験の準備だけでも大変なのに、新型コロナウイルスの状況のなかで、試験を受けることになり、より大変で心配も多かったことでしょう」としています。

そのうえで「皆さんは輝く存在です。実力を遺憾なく発揮し、自分の夢を咲かせると信じています。応援しています。自信を持って、落ち着いて」とエールを送りました。

試験に先立ち、ムン大統領は先月、みずからも試験会場を訪れて準備の状況を確認したほか、韓国政府は国民に対して大人数での会食を控えるなど感染対策への協力を呼びかけ、受験生が安心して試験に臨めるよう対応に力を入れてきました。

受験生家族 祈りや心配の声

試験が行われている間、ソウル市内の寺では、受験生の家族が手を合わせたり、「高得点祈願」と書かれたろうそくに火をともしたりして、好成績を祈る姿が多く見られました。

このうち、孫のために来たという80代の女性は、「試験でいい結果を出してほしいです。最近は、就職も難しいので、いい学校に受かればいいなと思います」と話していました。

そのうえで、新型コロナウイルスの感染が広がる中での試験となったことについては、「心配です。孫は、家からなるべく出ず、食事もはやく済ませて部屋に戻ったり、友達にも会わなかったりと、気をつけていました」と述べ、気遣っていました。

感染者のために特別の試験会場

今回の試験で、韓国政府は、新型コロナウイルスへの感染が確認された受験生や、隔離措置の対象となっている受験生のために、特別の試験会場を設けました。

韓国教育省の2日の発表によりますと、感染が確認された受験生のために、全国25か所の病院と、症状が軽く入院する必要性が低い人のための施設「生活治療センター」4か所に試験会場が設けられました。

これらの施設で35人が受験するということです。

また、感染者と接触したことなどで隔離措置の対象となっている受験生のために、一般の試験会場とは別に全国各地の高校や公共施設など113か所に試験会場を設け、およそ400人が受験するということです。

さらに、一般の受験生のためにも「密集」を避ける対策として、試験会場を増やしました。

このため、受験生は去年よりおよそ5万5000人少ないにもかかわらず、試験会場はおよそ200か所増えました。

また、当日はおよそ12万人が試験の監督や感染防止対策にあたると発表しています。

一般の試験会場でも感染防止対策

ほとんどの受験生が試験を受けた一般の試験会場でも、さまざまな感染防止対策がとられました。

まず、受験生は、試験会場では常にマスクを着用することが義務づけられました。

試験会場の入り口では、担当者がすべての受験生の体温を測り、発熱やせきなどの症状がないか、確認しました。

そして、「密集」を避ける対策として、1つの部屋に入る受験生の数を去年より減らし最大24人までとしたほか、飛まつ対策としてすべての机の前についたてが設置されました。

また、発熱などの症状が確認された受験生のためには、一般の受験生とは別の部屋が用意されました。