英 来週前半にコロナワクチン接種開始へ ファイザーなど開発

アメリカの製薬大手ファイザーとドイツの企業ビオンテックが開発した新型コロナウイルスのワクチンの承認を受けて、イギリス政府は、来週前半にワクチンの接種を始める方針を明らかにしました。ジョンソン首相は、「史上最大のワクチンの接種計画が始まる」と述べ、輸送態勢などを万全に整えていく考えを強調しました。

イギリス政府は、ファイザーとビオンテックが開発したワクチンについて、2日、安全性や有効性が確認できたとして承認されたと発表しました。

日本が供給を受ける予定のワクチンが承認されたのは初めてです。

ハンコック保健相は最初の80万回分がイギリス国内に輸送されたあと、来週前半に接種を開始するという見通しを明らかにしました。

また、大規模な接種は来年になってからで、高齢者施設の入所者や介護職員、80歳以上の高齢者などが優先されるということです。

このワクチンはこれまで実用化されたことがない全く新しい技術が用いられていることから、イギリスの規制当局などは安全性や有効性を継続的に調べることにしています。

また、ワクチンはマイナス60度から80度で保存する必要があるため輸送や管理が課題とされていて、ジョンソン首相は記者会見で「イギリス史上最大のワクチンの接種計画が来週から始まる」と述べ、準備を万全に整えていく考えを強調したうえで、リスクの高い人たちへの接種を終えるまでには数か月かかるとして、楽観的になりすぎることなく、感染対策を徹底するよう改めて求めました。

ワクチンは国内に輸送されたあと品質に問題がないか確認するなどしたうえで、接種が行われるイギリスの国民保健サービスの病院などに送られる計画で、イギリス政府は、ワクチンを大規模に接種するための拠点も設置することにしています。

市民の受け止めは

新型コロナウイルスのワクチンがイギリスで承認され来週から接種が始まることについて、イギリスの市民からは期待の声が聞かれました。

60代の男性は「ワクチンの承認や接種は早ければ早いほどいいです。それがパンデミックに対処する唯一の方法で、日常を取り戻すことができるようになるからです」と話していました。

また、10代の女性は「ワクチンは誰もが期待していたもので、私たちが以前の生活に戻るための手段になると思います」と話していました。

40代の男性は「全世界が待っていたのでとてもうれしいです。科学の力を信じていますから接種したいです」と話していました。

30代の男性は、「ワクチンなしで世界が前に進むことはできませんから期待が持てます。私は良い状況を求めていますからもちろん接種します」と話していました。

一方、小さな子どもを連れた30代の女性は「接種するかどうかは状況によります。ワクチンの試験は数か月しかしておらず、長期的な効果がわからないので、自分がどうすべきかはまだわかりません」と話していました。

英規制当局 安全性や有効性などについて科学的な審査徹底と強調

今回の承認を受けてイギリスの規制当局は2日、記者会見し、安全性や有効性などについて科学的な審査を徹底したと強調しました。

また政府の諮問委員会は、ワクチンを優先的に接種する人々をグループ分けした勧告を出しました。

それによりますと、「第1段階」として対象となるのは9つのグループで、最優先は高齢者施設の入所者や介護職員で、次が80歳以上の高齢者と医療従事者、その次が75歳以上などとなっています。

一方、妊婦と16歳未満の子どもは安全性に関するデータがないか、極めて限られているとして、この段階での対象には含まれていません。

ジョンソン首相は2日、議会で、「ワクチンの接種を強く促したいが、義務づけることは、われわれが望むことではない」と述べ、接種を義務化する考えはないとしています。

WHOツイッター投稿「緊急使用リストに迅速に加えるため協議」

アメリカの製薬大手ファイザーとドイツの企業ビオンテックが開発した新型コロナウイルスのワクチンがイギリスで承認されたことについて、WHO=世界保健機関は2日、ツイッターに「WHOの緊急使用リストに迅速に加えるため、ワクチンの評価を行った際の情報を得ることができるかイギリスの規制当局と協議している」と投稿しました。

WHOの緊急使用リストは、審査体制が整っていない途上国が自国で緊急使用を承認する際の目安にするもので、これまでのところ、
このリストに新型コロナウイルスのワクチンはありません。