世界の飢餓 私たちにできることは

世界の飢餓 私たちにできることは
ことしのノーベル平和賞に選ばれた、WFP=世界食糧計画。飢餓に苦しむ人をなくすための活動をしています。その活動にふれながら、私たちには何ができるのか、考えます。

WFP その活動とは

WFPは、食糧などの人道支援を行う、国連の機関です。
こちらは、そのWFPが、栄養不足の現状についてまとめた地図です。色が赤く濃い国ほど、栄養不足の人の割合が高いことを示しています。アフリカや中東に多いですね。
WFPはこうした地域を中心に、去年、世界88の国と地域の1億人近くに対して、緊急物資の配布や栄養状態の改善に取り組みました。

食糧問題 あなたなら?

こんな入試問題がありました。
問題
飢餓と貧困をなくすことを使命とする国連の世界食糧計画(WFP)によると、世界では9人に1人が飢餓に苦しんでいます。また、5歳未満で亡くなる子どものうち、約半数は栄養不良が関係しています。
もしあなたが国連の食糧問題の担当者だとしたら、日本の中学生に対してどのような活動をしますか。50字以内で書きなさい。
(大宮開成中学校 2019年)

食糧不足 いちばんの原因は紛争

この問いかけについて考えるため、食糧不足が深刻な国のひとつ、アフリカの南スーダンで活動するWFPの日本人職員の方に、直接話を聞きました。
WFP・南スーダン事務所の三澤康志さんです。国内各地に足を運んで現状を知り、食糧支援の計画を立てるのが仕事です。命をつなぐ最前線に立っています。
現地はどんな状況なのでしょうか。
三澤さん
「紛争がまだ続いています。WFPや南スーダン政府などが毎年2回調査していますが、人口の約3分の2にあたる750万人以上が、今後数か月で深刻な食糧不足に陥る可能性があると警告しています」
アフリカの内陸にある、南スーダン。WFPによりますと、紛争の戦火を避けて220万人以上が、隣国のウガンダやケニアに難民として逃れています。国内で避難した人も、推定で150万人以上います。
三澤さんは、食糧不足のいちばんの原因は、この「紛争」だと言います。
三澤さん
「紛争の場合は、その地域に住んでいた人が住まいを追われて、農地も捨てて、家畜も家も、すべて捨てて避難するわけです。身の危険を感じるわけですから。安全なところに逃げてきた人たちに『最近1か月、何を食べましたか』と聞いたら、『10日以上、何も食べていない』と。水は川とかでくめますけど、草とかを食べているということです」

食糧支援の現場は

三澤さんたちが配っているのは、トウモロコシ、豆、野菜の油、そして塩。子どもや妊婦には、さらに栄養価の高いものを提供しています。
かつては、先進国から届く「現物」を配ることが多かったんですが、最近は、現地の経済を活性化させることも大切にしているそうです。
三澤さん
「最近は、お金をいただいて、できるだけ地元で取れる物を地元で買うようにしています。地元で物を買うと、それで市場が活発になりますし、自分たちの好きな物を食べられますから」
三澤さんが会った男の子です。
少しひざの骨が浮き出ていて、やせているように見えますが、どういう状態なのか聞きました。
三澤さん
「栄養失調の子どもです。最低6週間から3か月、栄養失調の子どもに対するプログラムをしているそうです。その子はまだ1か月なので、これからよくなると思います」

支援にもかかわらず…

こうした支援にもかかわらず、食糧不足に追い打ちをかけているのが、自然災害です。
まず、大規模な洪水。ことしは収穫期の前に起こり、作物だけでなく、来年植えるための種さえ、全く取れなかった地域もあったといいます。
そして、アラビア半島で大量発生した、バッタ。ことし、南スーダンにも襲来し、東部の穀倉地帯で、作物が食い荒らされました。
新型コロナウイルスも影響しているといいます。
三澤さん
「新型コロナウイルスによる食糧危機の影響で、いちばん大きいのは、やはりサプライチェーン、供給連鎖の流れが乱されたということですね。国境封鎖で、支援物資が南スーダンになかなか入ってこないという状況もありました」

「食糧不足 ひと事ではない」

三澤さんは「世界の食糧不足は、ひと事ではない」と指摘します。
三澤さん
「世界的な統計を見ると、食糧は足りていないわけではありません。振り分けがうまくいっていないというのもありますし、特に、フードロスの問題が大きいですね」
日本の子どもたちには、こんなメッセージを寄せてくれました。
三澤さん
「身近なところから、できる範囲でフードロスを少なくする活動を行っていただきたいと思います。家庭でできること、学校でできることをいろいろ考えていただいて、そういう経験や活動の実績が、将来大人になったときに、もっと大きな形で、さらなる活動につながると思うので、小さなことからやっていただければと思います」
日本で余った食べ物が、必ずしも食糧不足の現場に届けられるというわけではありませんが、不均衡がどうして起きるのか、身近なところから考えることが大事なんですね。
WFPは、各国からの拠出金や、企業や個人の寄付金で活動しています。ただ、慢性的に資金不足で、新型コロナで各国が経済対策に追われるなか、お金はさらに集まりにくくなる可能性があるとしています。
飢餓は遠い話と受け止めがちですが、弱い人たちが、より深刻な影響を受けている。それを少しでも心にとどめておきたいと思います。
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