看護師不足で一部の病棟閉鎖 コロナ感染拡大で 大阪

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、大阪市の市立病院は新型コロナの患者に対応する看護師を確保するため、がん患者などを扱う一部の専門病棟を、一時的に閉鎖することになりました。看護師不足のため、大阪府内で病棟の閉鎖を余儀なくされた病院はほかにもあり、新型コロナの感染拡大は一般の患者の治療にも影響が出る事態になっています。

大阪市の市立病院を管轄する市民病院機構によりますと、都島区にある大阪市立総合医療センターでは、今月上旬から10代から30代のがん患者専門の病棟を、一時的に閉鎖することになったということです。

この病棟に入院しているおよそ20人の患者は、センター内の別の病棟で治療を続けるということです。

この病棟で勤めていた看護師およそ20人は、総合医療センターや、淀川区にある市立十三市民病院で、新型コロナの患者の対応にあたることにしています。

市立総合医療センターでは、これまでにも緩和ケアや婦人科などの診療科を一時的に閉鎖し、合わせて看護師およそ80人を新型コロナの患者に対応する医療スタッフとして配置したということです。

市立総合医療センターの畑公祥総務課長は「それぞれの専門領域で患者の治療に専念したいが、コロナの拡大で苦渋の決断を迫られている」と話しています。

新型コロナの患者に対応する看護師不足のため、専門の診療科を一時的に閉鎖する病院は大阪府内にほかにもあり、新型コロナの感染拡大で一般の診療への影響が出る事態になっています。

大阪府病院協会会長「医療の質落ちるゆゆしき事態だ」

大阪府内にある病院でつくる、大阪府病院協会の佐々木洋会長は「いまいる看護師の人数で新型コロナに対応するしかないため、結果的に一般の患者をみることを制限せざるを得なくなってしまっている。現在、どの病院でも診療を縮小してコロナの対応にあたっていて、診療科や専門病棟を閉鎖する病院が、今後もっと多くなってくるという危機感を持っている。このままでは一般の患者の治療が先送りになることが予想され、医療の質が落ちるゆゆしき事態だと考える」とコメントしています。