元気にしていますか? ~コロナ禍の年賀状事情~

元気にしていますか? ~コロナ禍の年賀状事情~
ことしも残すところ、あと1か月。年賀状をどうしようかと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。私もその1人です。東京で働いているため、ことしの年末年始は山形の実家に帰省できるか分からない状況…。1年も会っていない故郷の友だちやスマホを持っていない祖母が元気にしているかどうかも気になるところで、いつもは書かない年賀状を大切な人たちに宛てて書いてみようかなとも考えています。コロナ禍で迎える初めての年賀状の季節。みなさんはどうしますか?(ネットワーク報道部記者 小倉真依・玉木香代子/スポーツ情報番組部ディレクター 小笠原信哉/盛岡局ディレクター 河村直宏)

年賀状の減少が続く中…

新年のあいさつをメールやSNSで済ませる人たちが増えるなか、年賀状の発行枚数は年々、減り続けています。

新型コロナウイルスの感染拡大で業績が悪化した企業が年賀状を減らすケースもあるといいます。

日本郵便によると、ことしの発行枚数は、去年より17%少ないおよそ19億4000万枚と民営化以降、最も少なくなりました。

そんな中、SNS上にはコロナ禍での年賀状にさまざまな声が上がっています。
「年賀状、今年は出すべき?コロナ禍なので触りたくないと言う人もいるからなぁー」

「年賀状でコロナウイルスが拡がるってことは…ないよね?」

一方、こんな意見も。

「今年は帰省もしないことだし、家族宛へ年賀状でも書いてみようかなあ」

「『気軽にLINEもできるし、あんまり意味ねぇな』と思ってたけど、今年はコロナで会えていない人も多いし、本来の年賀状としての役目を果たしてもらおう」
コロナ禍の今だからこそ、年賀状の役割を見直している人もいるようです。

送る? 送らない?

ことしの年賀状をどうするか。
民間企業が全国の男女1600人を対象にインターネット上でアンケート調査を行いました。
年賀状を「毎年送っている」「送ることが多い」と回答した1018人のうち、10.9%にあたる111人が、ことしは「送らない(送らないつもり)」と回答。
その理由として「年賀はがきによるコロナの拡散が怖いから」(60代男性)とか「おめでたい気分ではないので、年賀状を書く気持ちになれない」(30代女性)といった声が寄せられました。
一方、年賀状を「送らないことが多い」「送っていない」と回答した582人のうち、6%にあたる35人が、ことしは「送る(送るつもり)」と回答しました。
次のような理由が寄せられました。

「友人や知人と会う機会が少なくなったため」(60代男性)や
「ステイホームでお盆お彼岸など出かける機会が少なくなってしまったため」(50代女性)
「感染していないか、健康かなどが知りたい」(50代男性)

感染リスクを心配して、あるいは相手を気遣って送らないという人がいる一方で、会いたくても会えないからこそ送って近況を伝えたい、知りたいという思いもあるようです。

年賀状に感染リスクあるの?

年賀状でウイルスの拡散を心配する声も聞かれましたが、感染が拡がることはあるのでしょうか。

感染症学が専門の聖マリアンナ医科大学の國島広之教授に聞きました。
聖マリアンナ医科大学 國島広之教授
「紙にウイルスが付着することはあるかもしれませんが、年賀状が感染経路になることは考えづらいです。新型コロナに感染した人が常に手にウイルスを持っているわけではないですし、仮に手を洗わないで年賀状を書いた人がいたとしても、会食や飲み会のようにマスクを外して近くで会話するような状況と比べたら年賀状を介して感染するリスクは低いです。主な感染経路は飛沫感染であり、クラスターが起こるような状況とも一致しないので、手洗いなどの対策を行っていれば過度に心配する必要はないと思います」

会えない時間を埋めたい

ことしの年賀状を取り巻く状況はどうなっているのでしょうか。

実際に年賀状の制作を手がける都内の印刷会社に話を聞くと、受注は例年より3割も増えているといいます。

この会社では年賀状の注文が年々減り続けていたため、ことしの受注の多さに驚いていました。

会社の担当者は、注文増加の背景にはコロナ禍ならではの気遣いがあるのではないかと話しています。

では、どんなデザインに人気が集まっているのでしょうか。

コロナ禍で振り回された日常をユニークに振り返るものからコロナを絡めてくすっと笑えるイラストまでさまざまです。
「ソーシャルディスタンス(牛一頭分)やってます」というメッセージ。
子牛がお父さん牛にくっついて仕事にならない様子を描いた「リモートワークの現実」。
「あえたときの歓喜のための今は我慢の換気をしてます」。
疫病から人々を守るとされる妖怪で、ことしの「新語・流行語大賞」のトップテンにも選ばれた「アマビエ」をねぎらうイラストも。
「白橋」営業総括 白橋昌磨さん
「久しぶりにふるさとで過ごすお正月が特別なものなんだなと気づかされた人も多いと思います。そこには、会えない中でも親戚や友人に宛てて、逆境をはねかえそうという思いが込められていたり、せめて年賀状を送ることで会えない時間を埋めたい、互いを気遣いたいという気持ちがあったりするのではないでしょうか」

無病息災を願って…

来年のえとの「うし」と新型コロナ終息への願いを組み合わせたこんな年賀状も人気を集めています。
1枚を仕上げるのに4日から5日かかるという、このはがき。

福島県会津若松市の漆器店が漆器の技法をいかして作りました。

疫病から人々を守るとされる妖怪「アマビエ」と無病息災を願う会津地方の郷土玩具「赤べこ」を組み合わせて、世の中を明るくしたいという思いが込められています。
「関漆器店」社長 関盛夫さん
「まき絵の年賀はがきは珍しく、絵として長く飾ってくださる方もいる。新型コロナで離れたところにいる方との会話のきっかけになってくれたら」

相手を気遣うことばを

とはいえ、「感染が広がる中でおめでたくもなく年始を祝う気持ちにはなれない」とためらっている人も多いと思います。

コロナ禍での年始のあいさつをどう考えればいいのか、「手紙文化振興協会」のむらかみかずこ代表理事に聞きました。
「手紙文化振興協会」 代表理事 むらかみかずこさん
「必ずしも年賀状を使わなくても、電話してあいさつをするだけでも思いが伝われば構わないかもしれません。ただ、手書きの文字には、その人なりの個性が表れます。年賀状であれば、余白に一行でも『元気に、身体に気を付けて過ごしましょう』など、相手を気遣う言葉を書くとよいでしょう。年賀状は『旧年中にお世話になった感謝』と『新年が少しでも晴れやかなものでありますように』という思いを書くものなので、コロナ禍の今でも同じかと思います」
年賀はがきの受け付けは、12月15日から始まります。

さて、あなたはどうしますか?