新型コロナワクチン「モデルナ」も米当局に緊急使用許可申請

アメリカの製薬会社「モデルナ」は開発中の新型コロナウイルスのワクチンを緊急で使用するための許可をアメリカの規制当局に申請したと発表しました。日本政府はモデルナと2500万人分のワクチンの供給を受ける契約を結んでいます。

アメリカの製薬会社「モデルナ」は30日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンの有効性を分析した結果を明らかにするとともに、FDA=食品医薬品局にワクチンを緊急で使用するための許可を申請したと発表しました。

それによりますと開発の最終段階となる第3段階の臨床試験では、3万人以上の対象者のなかで新型ウイルスの感染症が196例確認されましたが、このうち185例は「プラセボ」と呼ばれる偽薬の接種を受けた人たちで、実際にワクチンの接種を受けた人では11例だったということです。

また重症化したケースも30例ありましたが、すべてプラセボのグループだったということで、モデルナは94.1%の有効性が確認されたとしたうえで、安全性について健康への重大な影響は認められていないとしています。

アメリカでワクチンの緊急の使用許可を申請したのは製薬大手ファイザーに続き2例目で、モデルナは今後、EU=ヨーロッパ連合の規制当局にも条件付きで製造・販売するための許可を申請するとしています。

日本政府はモデルナがワクチンの開発に成功した場合、来年秋までに2500万人分のワクチンの供給を受ける契約を結んでいて、このうち2000万人分は来年1月から6月までに供給されることになっています。

ワクチン供給の見通しは

厚生労働省は、国民全員が接種できる量のワクチンを、来年前半までに確保する方針で、欧米の製薬会社3社との間で、開発に成功した場合に供給を受ける契約などを結んでいます。

アメリカの「モデルナ」からは来年9月までに2500万人分の供給を受ける契約で、このうち2000万人分は来年6月末までに供給されることになっています。

同じくアメリカの「ファイザー」とは来年6月末までに6000万人分、

イギリスの「アストラゼネカ」とは来年3月末までに1500万人分、合わせて6000万人分の供給を受けることでそれぞれ基本合意しています。

厚生労働省によりますと、3社のうちファイザーとアストラゼネカは、すでに日本国内で臨床試験を始めています。

また、モデルナが開発するワクチンの輸入などを手がける武田薬品工業によりますと、現在、モデルナも日本国内での臨床試験の実施に向けて準備を進めているということです。

厚生労働省は今後、各社から承認申請が出された時点で承認するかどうかを判断し、具体的な接種の開始時期などを検討することにしています。