社会

航空業界を目指す学生 新型コロナで厳しい状況に直面

新型コロナウイルスの影響が長期化する中、航空業界への就職を目指す学生は厳しい状況に直面しています。
大阪 堺市の大阪航空専門学校は、およそ500人が学ぶ航空業界への就職に特化した2年制の学校で、例年、卒業生のおよそ95%がパイロットや客室乗務員、それに整備士など、航空業界への就職を決めています。

1年生の高石真帆さん(18)は、中学生のころから憧れてきた客室乗務員になる夢をかなえたいと、来年6月から始まる見込みの航空各社の採用試験に向け、面接の練習などに取り組んでいます。

専門学校では例年、航空各社の担当者を招いて就職説明会を開いていますが、ことし10月から今月末までに予定しているものは、去年の3分の1程度になっています。

ANAグループは、再来年度入社の客室乗務員の新卒採用をしない方針を示すなど、学校では航空業界は厳しい状況が続くとみていて、学生たちに別の業界への就職も考えるよう指導するなど危機感を強めています。

高石さんも人と接することが好きな自身の長所を生かせると、ホテルなどへの就職についても考え始めていますが、コロナ禍でこちらも厳しい状況となっています。
高石さんは「採用活動があるかどうか不安な思いですが、採用活動が始まるまで勉強や自分を磨く時間に使うなど前向きに考えていきたい」と話していました。

大阪航空専門学校でキャリアサポートを担当する今村和江さんは、「コロナ禍以前と比べると、採用に向けた企業の動き出しが遅くなっている。厳しい状況だが、学生が企業を知る機会を少しでも設けていきたい」と話していました。

コロナ収束見据え 採用継続の企業も

厳しい状況が続く中でも、新型コロナウイルスの感染が収束したあとを見据えて、学生などの採用を続ける企業もあります。

関西空港で航空機の駐機場への誘導や機内からの荷物の積み降ろしなどの業務を請け負う大阪 泉佐野市に本社がある「CKTS」は、インバウンドによる航空需要の増加から、毎年100人以上を採用してきました。

しかし昨年度、過去最高の14万7000回を記録した関西空港での国際線の発着は、1日10便程度にまで激減し、厳しい経営に直面しています。

会社では800人余りの社員が働いていて、国の雇用調整助成金を利用し、社員を休業させるなどして雇用を維持していて、学生などの採用活動は、人数を大幅に減らして続ける方針です。

駐機場での航空機の誘導など航空の安全に関わる社員の育成には数年かかるため、需要が回復したあとに採用するのでは間に合わず、人材の供給が途切れると航空業界全体に大きな影響を及ぼすからです。

苦しい状況でもなんとか採用を維持し、新型コロナウイルスの感染が収束したあと、航空需要が回復すれば、直ちに需要を取り込みたいとしています。
執行役員の菅田智裕さんは「安全な航空を支えるために感染の収束後、増える利用客に対応できる態勢を整えないといけない。空の安全を支えるため学生には頑張ってほしい」と話しています。

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