オーストラリア首相 中国報道官の投稿画像「偽造」と謝罪要求

オーストラリア軍の兵士がアフガニスタンで民間人などの殺害に関わった問題をめぐって、オーストラリアのモリソン首相は、中国外務省の報道官がツイッターに投稿した画像について「偽造されたもので、ひどい中傷だ」として中国側に謝罪を求めました。

オーストラリア軍は、今月、過去にアフガニスタンに派遣されていた兵士が、民間人や捕虜合わせて39人の殺害に関わっていたと公表し、謝罪しました。

こうした中、中国外務省の趙立堅報道官は30日、ツイッターにオーストラリア軍の兵士の格好をした人物が、子どもにナイフを突きつける画像とともに「オーストラリアの兵士たちによる、アフガニスタンの民間人や捕虜の殺害に衝撃を受けた。われわれはこのような行為を強く非難するとともに、責任を負わせるよう求める」と英語で書き込みました。

これを受けてモリソン首相は記者会見し「この画像は偽造されたもので、われわれの偉大な軍に対するひどい中傷だ」と非難するとともに、中国側に謝罪と投稿の削除を求めました。

これに対し、中国外務省の華春瑩報道官は30日の記者会見で「インターネット上にあった写真だ。削除するかどうかはオーストラリア政府とツイッター社の間の問題だ」と述べました。

そのうえで、オーストラリア軍の行為について「オーストラリア政府は深く反省し、犯行に及んだ者を裁き、アフガニスタンの人々に正式に謝罪すべきだ」と非難しました。

両国の関係は、モリソン首相がことし4月、新型コロナウイルスの発生源を解明する独立した調査が必要だという考えを示して対立したことをきっかけに急速に悪化していて、今回の問題が新たな火種になる可能性もあります。

投稿画像には兵士が子どもの首にナイフ

中国外務省の趙立堅報道官が投稿した画像には、オーストラリア軍兵士の格好をした人物が、子羊を抱える子どもの頭をつかんで首に血のついたナイフを当てる様子が映っています。

子どもの顔はオーストラリアの国旗で覆われていますが、苦しそうな表情が透けて見え、これに対し、兵士は笑みを浮かべています。

また、床も覆うオーストラリア国旗の下に、倒れている複数の人影も見られます。

画像には「怖がるな、われわれは平和をもたらすためにやって来ている」という文章も付けられています。

オーストラリアと中国の関係悪化の経緯

オーストラリアと中国の関係が悪化したのは、ことし4月、オーストラリアのモリソン首相が新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「何が起こったのかを調べる独立した調査が必要だ」として、発生源や感染拡大の背景などを調査する必要性を強調し、これに対し中国政府が強く反発したことがきっかけでした。

このあと中国側は、オーストラリアに対し、対抗措置とみられる動きを相次いで打ち出しました。

中国政府はこれまでに、オーストラリアからの肉製品や大麦の輸入を規制したほか、石炭や綿花についても購入しないよう国内企業に指示したと伝えられています。

さらに今月27日には、オーストラリア産のワインが不当に安く輸入されていると認定し、国内の業界に損害が出ているとして、一時的に保証金を上乗せすると発表しました。

一方のオーストラリア政府も中国への対抗姿勢を強めていて、6月、香港で反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が施行されると、香港との犯罪人引き渡し条約を一時停止したほか、中国による南シナ海の領有権の主張を「法的根拠がない」と否定する書簡を国連に提出しました。

さらに、報道機関をめぐっても摩擦が起きていて、オーストラリアの情報機関が6月に中国国営メディアの記者を捜査したと報じられたほか、9月には中国側が、中国駐在のオーストラリア人記者に対し出国を禁じたうえで、取り調べに応じるよう要求したと伝えられています。

両国関係は、新型コロナウイルスへの対応をきっかけに悪化の一途をたどっていて、改善の兆しは見えていません。

「戦狼外交官」の異名で知られる趙報道官

趙立堅報道官は、中国外務省の報道官の1人で、その強気の姿勢から「中国版ランボー」とも呼ばれる中国で大ヒットした映画のタイトルをとって、「戦狼外交官」という異名で知られています。

趙報道官は、定例の記者会見だけでなく、ツイッターも駆使して、中国の立場を宣伝していますが、これまでにもツイートの内容をめぐって、議論を呼んできました。

ことし3月には、新型コロナウイルスについて「アメリカ軍が中国に持ち込んだものかもしれない」とツイッターに投稿し、トランプ大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んで激しく非難するなど、米中が非難の応酬を繰り広げるきっかけの1つともなりました。

趙報道官のツイッターのフォロワーは78万人以上いますが、中国国内でツイッターは利用を制限されていることから、中国国外に向けて発信を続けているものとみられます。