「親が感染したら 子どもはどこへ?」

「親が感染したら 子どもはどこへ?」
新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。感染対策に気をつけていてもいつ誰がかかっても不思議ではない状況ともいえますが、小さい子どものいる親からは不安を訴える声が…。もしあなたがコロナにかかってしまったら、子どもたちどうしますか?(ネットワーク報道部記者 成田大輔・野田綾・吉永なつみ/国際放送局記者 永楽真依子)

不安の声 続々

“第3波”到来とも言われ感染者が急増するなか、SNS上には親が新型コロナウイルスに感染したとき、子どもをどこに預けたらいいのか、不安の声が上がっています。
「もしわたしがコロナになったら子どもたちどうなるんだろう」
「万一隔離されたら子どもの居る場所が無い。自分なしで子ども達の世話をできる人がいない」
「親には預けられない。感染させてしまうリスクがあるから。かといって他に預けられるところなんてない。となると、感染したまま家で子どもをみるしかないのかな……」

あっという間に感染 預け先確保の余裕すらない

あっという間に家族の間で感染が広がってしまったため、子どもの預け先を確保する余裕がなかったという家族もいます。

話を聞かせてくれたのは、保育園児から中学生までの4人の子どもがいる関東地方の40代の母親です。

11月中旬、夫が発熱し、PCR検査を行ったところ、陽性と判明しました。

このとき、すでに2人の子どもが発熱していて、子どもたちを隔離するのは手遅れだったといいます。
家族で感染した母親
「6人家族なので、1人、2人と次々発症していき、もう逃げ切れない感じです」
PCR検査を行ったところ、家族6人のうち5人が陽性。症状が軽かったため自宅で療養することになりました。
外出ができない家族はネットスーパーや感染者向けの支援として自治体から送られてきたレトルトごはんやみそ汁、冷凍食品等の食料などをやりくりして過ごしているということです。
幸い重症にはなりませんでしたが新たな問題が起きています。それは、家族の中で唯一陰性だった小学生の子どもの隔離。たとえ陰性でも、濃厚接触者になるため家族と接触した日の翌日から14日間は、外出自粛などの健康観察が必要になります。
家族の中でも発症した日にばらつきがあるため陰性の子どもは、ほかの家族が療養を終えて外出できるようになった後も、外出自粛が必要でした。
陰性だった子どもは、最初に感染し療養期間を終えた夫とともに今もホテル暮らしを余儀なくされているといいます。ホテルでの滞在期間は1週間におよび、費用はすべて自己負担となりました。
家族で感染した母親
「宿泊費用はGo Toトラベルを利用したので抑えられましたが、陰性の子どもの場合、長期間の隔離が必要になりました。子どもたちはずっと学校を休むことになっただけでなく、身近にコロナについて相談できる相手もいなくて大変です」

自治体によって異なる対応

感染してしまったけれど、子どもを預けられる親族が近くにいない。そんなときはどこに預けたらいいのでしょうか。
厚生労働省に聞いてみると、基本的には、「保護者が感染してしまった場合は親族などに預けてもらうようお願いする」ということです。
親族が高齢の場合は子どもを預けると感染させてしまう心配もあります。
担当者は、親族なども面倒を見るのが難しい場合は、病院や児童相談所の一時保護所や児童養護施設などで、子どもを受け入れることを検討するよう、ことし4月、全国の自治体に通知しているということでした。
ただ、具体的な対応はそれぞれの自治体が地域の実情に合わせて決めているといいます。
厚生労働省の担当者
「自治体の実情に応じて対応は異なっていて、どのような対応を取っているか、把握していません」

「家庭内感染」最多の東京は

家庭内で感染した人の割合が4割と、感染経路別でみると最多となっている東京都では、どんな対応を取っているのでしょうか。

東京都家庭支援課によると、都内では子どもがPCR検査の結果、陰性と判定されても親が入院する医療機関に一緒に入院できるよう対応しているということです。これは、万が一、子どもが急に体調を崩してもいち早く対応できるようにするほか、感染を広げるリスクを避けるためだといいます。

7月から東京を起点に拡大した感染の第2波以降、親と一緒に入院する子どもの数は増加傾向にあるということで、東京都家庭支援課の吉川千賀子課長は、「預けられる親族などがいない場合は、保健所が医療機関に入院手続きをするほか、児童相談所と連携して一時保護委託の手続きを行っています。不安なときは感染後の対応を保健所に相談する際に家庭状況についても相談してほしい」と話しています。

また、親が軽症の場合は自宅やホテルで療養してもらっているということで、こうした場合でも希望する場合は、小児病床のある病院で子どもを一時保護をする対応を取っているということです。

ホテル借り上げも

子どもの受け入れ先が確保できず自宅で感染した親が子どもと一緒に過ごしながら療養せざるをえない。そんな状況でも子どもを感染から守ろうと、独自に居場所を確保する自治体もあります。
東京・港区は区内のホテルのワンフロアを借り上げ、最大で20部屋を確保して親が感染で入院や療養をした18歳未満の子どもを受け入れています。保育士が24時間常駐し、食事や着替えなどの世話をするほか、気晴らしに散歩にも連れて行ったりしているということです。
区はことし4月からこの取り組みを始めていますが、これまで実際に利用した子どもの数は、たったの7人。
利用したのは、ひとり親のほか両親が入院した家庭で、港区の担当者によりますと、利用する子どもの数は当初の想定を大幅に下回っているということです。
港区の担当者
「子どもが未就学児だったり食べ物のアレルギーがあったりすると子どもだけで預けることに不安を持つ親は多く、どうしても頼れる場所がない時の最後のよりどころになっているのかもしれません。多くの場合は、親戚を頼って何とか預け先を確保したり、子どもと一緒に病院に受け入れてもらったりしているケースが多いのではないでしょうか」

家庭内感染を防ぐには

では、家庭内感染を防ぐにはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか。
東北医科薬科大学病院がホームページに掲載している「新型コロナウイルス感染症市民向け感染予防ハンドブック」では、家庭での感染対策を詳しくまとめています。

このハンドブックを監修した東北医科薬科大学賀来満夫特任教授に聞きました。
まず、いちばん大切なことは部屋の十分な換気です。
日中は1~2時間ごとに5分から10分間、窓や扉を開けて部屋の空気を新鮮に保つようにしてください。
そのうえで、症状がある本人(親)は室内でもマスクをすること。一方、幼い子どもは濃厚接触者であってもマスクを長時間つけることはできないので、預かった親族がマスクをしたほうがよいということです。

乳幼児と暮らしていると肌の密着は避けられませんが、口と鼻に触れたときにはすぐにせっけんと流水でよく手を洗ってください。
こまめな手洗いと消毒はこの場合でも有効だということです。
また、テーブル、ドアノブ、トイレなど手がよく触れるところは、1日1回以上、消毒用アルコールで消毒するとよいということです。

そして、食事の時には、
▽食器を共用しないこと、
▽大皿から取り分けずに別々に盛りつけることが重要です。
使った食器は食器用洗剤でよく洗います。
気になる場合は、熱湯に10分以上浸してからふだん通り洗剤で洗えば、ほかの人が使っても大丈夫だということです。

親として気がかりなのは寝るときです。賀来特任教授は、「日中は換気とマスクでしっかり対策をとったうえで、子どもをたっぷり甘えさせてあげて、夜は早く寝かせてあげてください」といいます。可能であれば、別の部屋で寝るのが望ましいということですが、それが難しい場合、
▽1~2メートルの距離をとる、
▽換気をする、
▽親はマスクをして寝ることで
感染のリスクは下げられるといいます。

感染拡大“第3波” 災害と同じ備えを

ただ、複数の対策を組み合わせていても、感染を100%防ぐことは難しいのが現実です。
賀来特任教授は、「感染が再び拡大しているこの状況は、1つの災害としてとらえてほしい」と強調しました。

ひとたび親が重症化すれば、子どもと離ればなれになることもある新型コロナ。いざというときに慌てないで済むよう、
▽子どものアレルギーの有無、
▽服用している薬、
▽家族や学校、保育園、かかりつけ医などの連絡先を一覧にまとめておくなど災害時と同じ備えをしておきたいと思いました。