フランス 新型コロナ 外出制限などの措置 段階的な緩和始まる

フランスでは、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたことを受けて、外出制限などの措置の段階的な緩和が始まり、小売店ではおよそ1か月ぶりに店内での営業が再開されました。

フランスでは、今月上旬に6万人を超えた1日の新たな感染者数が、この1週間は2万人を下回るなど減少傾向にあり、政府は外出制限や店の営業規制などの措置を段階的に緩和することを決めました。

28日にはおよそ1か月ぶりに小売店の店内での営業が認められパリのおもちゃの専門店では午前10時の開店とともにクリスマス用の飾りやプレゼントを買い求める客が次々と訪れました。

この店では、感染対策のため、1度に入店できる客を9組に限定し、客には入店の際に手を消毒するよう求めています。

娘へのプレゼントを買った女性は「飾りをじっくりとみたり、さわったりして直接選べることが不思議なくらいです。パソコンを通してネットで買うよりも、ずっと温かみがあります」と話していました。

この店では店内で営業ができなかった1か月の間、電話で注文を受けて、店頭で客に商品を渡していたということですが、売り上げは去年の30%の水準に落ち込んだということです。

店の経営者は、「去年よりも売り上げをあげて、11月の損失分を回復したいです」と話していました。

フランス政府は、感染状況が改善すれば、来月15日には外出制限を夜間に限定するなどさらに緩和を進める方針です。

小売店に通常営業認めた背景は

フランス政府が小売店に通常の営業を認めた背景には、クリスマスに向けて売り上げを取り戻したいという業界への配慮があると受け止められています。

11月と12月は例年、小売店の売り上げが年間の3分の1を占めるということで、フランス商工会議所では、「極めて重要な時期」だとして、通常の営業を再開できるように強く求めていました。

さらにフランス政府は、営業規制の緩和に先立ち、ネット通販大手などと協議を行って、27日から予定されていた「ブラックフライデー」のセールを1週間延期させています。

小売店の営業が規制される中で、セールが行われれば、「ネット通販大手の1人勝ちになる」という批判を受けての措置とみられています。

専門家 感染再拡大を懸念

フランス政府は、来月15日には、新たな感染者数が1日5000人程度に減っていることなどを条件に、外出制限を夜間に限定するなど、段階的な緩和を進め、クリスマスイブの24日と大みそかについては、一時的に夜間の外出も認めるとしています。

これに対して、専門家からは、制限の緩和を急ぎすぎると、感染が再び拡大するおそれがあるという声も上がっています。
フランス南部のモンペリエ大学で感染症の広がり方などについて研究するミルセア・ソフォネア准教授は、「この春の制限に比べると、今回の制限の効果は限定的だ。緩和を早めすぎると感染が再び急速に広がることになる」と懸念を示しました。

そのうえで、夏の休暇のあとに感染者が増えたことも踏まえ、「年末休暇の影響で感染が再び拡大し、第3波となる可能性もある」と述べ、注意を促しました。