コロナ 時短要請の大阪 休業要請の札幌 飲食店などの影響は

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、大阪府では営業時間の短縮の要請が27日から始まりました。
また、北海道では、27日までとしてきた集中的な対策期間を来月11日まで延長し、札幌市内全域で接待を伴う飲食店に休業を要請することを決めました。
それぞれの街で影響を取材しました。

大阪ミナミの日本料理店

ミナミにある日本料理店の「新浅草」は、緊急事態宣言が出された際と感染が再び拡大したことし8月に休業したため、売り上げが大きく落ち込みました。

消毒や換気などの対策を徹底したうえで営業を続け、今月の売り上げは例年の8割程度まで回復してきたところでした。

忘年会の多い12月はかき入れ時で、例年、ほかの月の倍の売り上げがあるということですが、ことしは予約がほとんど入っていない状態です。

要請に応じて午後11時までの営業時間を2時間早めることにしましたが、深刻な影響が出るのではないかと懸念しています。

店主の大森達哉さんは「感染者が増えているのでできるかぎりの協力はしないといけないが、営業時間が短くなるだけでなくそもそもミナミに来たがらない人も増えると思うので売り上げはかなり厳しくなるだろう。持ちこたえられるか不安もあるが、意地でも店を残して常連さんにおいしいものを食べてもらいたい」と話していました。

大阪「北新地」

大阪府で27日から始まった営業時間の短縮の要請について、“キタ”の歓楽街「北新地」ではバーやクラブなど深夜まで営業する店が多いため、影響は深刻だという声が聞かれました。

北新地で10年営業してきた従業員3人のラウンジでは、かつては午後8時から翌日午前1時まで営業していましたが、新型コロナの影響で客が減り、緊急事態宣言の解除後は閉店時間を午後11時に早めて営業してきました。

アクリル板の設置や消毒を徹底するなどの対策をとり、なんとか営業を続けてきましたが、売り上げは去年の半分以下まで減っています。

今回、開店を1時間早めて午後7時にしたうえで、要請に応じて午後9時で閉店する予定です。

2時間では商売にならないとも感じていますが、休業せずに店を開け続けることにしました。
ラウンジを経営する女性は「経営状況を考えるとすぐに『分かりました』と言いづらいところはあるが、感染拡大を少しでも抑えられるのであれば、協力したいという思いです。売り上げの心配はもちろん、休業や短縮の要請が重なることで、営業を続けようという気持ちがなえてしまうんじゃないかと感じます」と話していました。

およそ450の店が加盟する北新地社交料飲協会の東司丘興一理事長は北新地でバーを3店舗経営していましたが、新型コロナの影響で7月に2店舗を閉店しました。

経営のことを考えると今回、営業時間短縮の要請に応じるか迷いましたが、ギリギリまで悩んで応じることに決めました。
東司丘さんは「北新地ではこれからが一番の繁忙期というタイミングでの要請で、どの店も本当につらいと思う。営業時間は午後9時までということだが、北新地のほとんどの店は午後8時から始まるので休業要請となんら変わりない。要請に応じるのか、お店を開けるのか、それぞれの店が苦しい判断だと思います」と話していました。

札幌 ススキノ ヘアサロン

札幌市の繁華街・ススキノで2つのヘアサロンを経営する相田哲基さんは、接待を伴う飲食店の従業員のヘアセットを主な売り上げにしていて、多い日には2つの店舗であわせて150人近くの客が訪れていたといいます。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが低迷し、政府の緊急事態宣言が出ていたことし5月には1つの店舗の休業に追い込まれました。

その後、先月には売り上げがかつての7割近くまで回復しましたが、接待を伴う飲食店に営業時間の短縮が要請された影響で再び売り上げが落ちていて、28日からの休業要請で、経営はさらに厳しくなると危機感を募らせています。

接待を伴う飲食店が道の要請に応じて休業すると協力支援金が支給されますが、要請の対象となっていないヘアサロンに対して損失を補う制度はありません。

相田さんは、「お客さんは激減すると思うが、それでも店の営業は続けるしかない。2店舗とも休業させたいが、協力金は受け取れないし、家賃などの支払いは変わらないので1円でも多く稼がなくてはいけない状況だ」と話していました。

さらに、国の今後の方針について、「休業要請が解除されれば再び経済を回していくのか、それとも完全に終息するまで今の状態が続くのか、店を続けるかどうかを判断するためにも、今後の見通しが知りたい」と話していました。

札幌 老舗の氷の卸売店

札幌市の老舗の氷の卸売店では、売り上げ全体の2割近くをススキノの接待を伴う飲食店向けの販売が占めていました。

例年では、年末に向けて注文が増える時期ですが、新型コロナウイルスの影響でススキノからの注文はふだんの半分ほどに減っていて、28日からの休業要請でさらに売り上げが減ることを懸念しています。

この卸売店の工藤裕介課長は、「休業要請をきっかけに取り引き先が閉店してしまうおそれもあり、さらに売り上げが減ることを心配している」と話していました。

また、売り上げが減少しても支援金が支給されないことについて「もう少し幅広い業種で支援を検討してほしい」と話していました。

札幌 “夜の街” 影響の大きさは不明

札幌市の接待を伴う飲食店の休業で売り上げが減少する事業者は、美容室などのほか、レンタルドレスや生花店など、さまざまな業種に及ぶとみられます。

しかし、北海道や札幌市によりますと、こうした事業者は協力支援金の支給対象にはなっていないほか、補償も検討していないということです。

また、札幌市全体で飲食店以外の業種も含めていわゆる“夜の街”の経済規模がどれぐらいあるか、正確な統計はなく、休業要請の影響の大きさも分からないとしています。