アイヌ文化を知ろう!

アイヌ文化を知ろう!
2020年7月、北海道白老町にアイヌ文化を伝える国立施設「ウポポイ」がオープンしました。ウポポイの意味はアイヌ語で「大勢で歌うこと」。施設には「国立アイヌ民族博物館」やアイヌの古式舞踊を披露するホール、伝統的な家屋を再現したエリアなどがあり、貴重な文化を知ることができます。アイヌについての入試問題を見ていきます。

問題に挑戦!

問題
アイヌに関連してのべたアからオまでの文の中から正しくないものをひとつ選び、その記号を書きなさい。

ア 江戸時代、アイヌが日本人(和人)にたいして反乱を起こしたことがある。
イ 江戸時代、アイヌと日本人との交易が松前藩を中心として行われていた。
ウ 明治時代になると、屯田兵が北海道に送り込まれ、アイヌの暮らす土地がうばわれていった。
エ 明治政府がアイヌにたいして日本語の教育を進め、今では、アイヌ語はほとんど使われていない。
オ アイヌの人口はしだいに減少して、今ではアイヌは北海道でしか生活していない。

(筑波大学附属駒場中学校 2012年)
内容は江戸時代や明治時代のアイヌと日本人の関係についてで「明治政府がアイヌに日本語の教育を進める」などとあります。アイヌの人たちには独自の文化を否定され、差別や貧困に苦しんできた歴史があります。
どんな文化を持って生活してきた人たちなのか、国立アイヌ民族博物館の学芸員、八幡巴絵さんに聞きました。

アイヌ民族とは

まず、アイヌ民族とはどういう人たちなのでしょうか。
八幡さん
「アイヌ民族は日本列島の北側、北海道や青森県の北部、あと樺太や千島列島の先住民族で、日本の大多数者である和人(日本人)とは異なることばや文化歴史を持っています。私も父方も母方も実はアイヌで、自己紹介するときアイヌ語だと、『八幡巴絵セコロ クレヘ アン(八幡巴絵という名前を私は持っています)』というふうに全然違うことばになります」
※アイヌ語での名前の「ロ」は小文字になる。
八幡さんによると、アイヌの人たちは東北から北海道、樺太、千島列島にかけての地域で生活してきた先住民族です。
山や川、海で狩りを行い、雑穀などを作って暮らしていました。いまの中国やロシアなどの人たちと昆布やサケなどの交易を行っていたといいます。
人々は自然の中に神を見いだし「火の神様」や「熊の神様」などをあがめてきました。儀式では歌や踊りでもてなしました。

アイヌ民族と日本人の歴史

そんなアイヌ民族の苦難の始まりは、江戸時代だったといいます。
八幡さん
「(江戸時代以降は)歴史の部分についてはかなり黒歴史と言ってもおかしくないです。現状の明治以降の差別やアイヌに対する偏見のベースになっていることなので」
江戸時代、松前藩がアイヌ民族との交易を独占します。アイヌは漁場を管理され、品物の交換の比率も不利な条件を強いられました。その後、松前藩と争い対立していきます。
そして明治時代に始まったのが、日本の文化を強制する、いわゆる同化政策です。サケやマスを川でとることなどが禁止され、代わりに農業が勧められましたが定着しませんでした。
また成人女性の証しとされた入れ墨も禁じられました。学校では日本語を学ぶよう求められ、アイヌ語や伝統的な風習は急速に失われていきました。
八幡さん
「明治の同化政策の中ではアイヌとして生きるか、日本人として生きるか、という選択がほぼない状態で、日本人としてしか生活できませんでした。その変化を受け入れなければ暮らしが苦しかったから、その当時はしかたがなかった、やらなきゃ暮らしていけなかったということだと思います」

アイヌ文化を守ろう!

文化を否定され、差別や偏見に苦しんできたアイヌの人たち。世界で先住民族への関心が高まる中、権利の回復を訴え続けました。転機となったのは平成9年に施行された「アイヌ文化振興法」です。
そして令和元年5月に施行された「アイヌ施策推進法」でアイヌの人たちは初めて「先住民族」と明記されました。
オープンした国立施設、ウポポイには、失われつつあったアイヌ文化を復興するという大切な役割があります。博物館の展示は800点以上あります。
飾りがつけられたヒグマのはく製。「イヨマンテ」という儀式を伝えるものです。ヒグマの魂を感謝を込めて神の世界に送り届ける、アイヌの精神文化を代表する儀式です。
八幡さん
「アイヌ文化の、明治以前のことを親などの世代から聞いて知っている人たちが、年々どんどん減ってきてしまっているので、今のうちに少しでも情報を残すことがお仕事の一つかなというふうに考えています」

多文化社会へ

八幡さん
「日本の中の多様性を知ってもらいたい、というのがまずありますね。アイヌだけではなく、日本の国の中でどういう人たちがいて、どういう歴史の中で暮らしてきて今に至るのか、というものを一緒に勉強してこれから私たちがどういうふうにしていったらいいのか、お互いの目線で考えていただきたいなというのがあります」
問題の答えは、選択肢オです。この記述が正しくありません。
北海道庁によりますと、アイヌの人たちは把握しているだけでも道内でおよそ1万3000人。ほかにも日本各地で生活しているとみられます。
近年、各地に外国人のコミュニティーが増え、さまざまなルーツの人たちとふれあう機会が増えていますね。
アイヌの豊かな文化を知るとともに、さまざまな地域の文化の多様性を尊重する社会につなげていくことが大事です。
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