スパコンで予測 航空機の客室 リクライニングで飛まつ拡散

最新のスーパーコンピューター「富岳」を使った新型コロナウイルスの飛まつの広がりの予測が公表され、航空機の客室内ではリクライニングした状態でせきをすると機内に飛まつが拡散するものの、マスクの使用で飛散を大きく抑えられるとしています。

神戸市にある理化学研究所の研究チームは、日本航空などと共同で「富岳」を使って航空機の客室内でマスクをせずにせきをした場合、新型コロナウイルスを含む飛まつがどう広がるか分析しました。

その結果通常の姿勢でせきをした場合、大きな飛まつは前列のシートにぶつかって落下するものの、リクライニングシートを使用した状態では多くの飛まつが前後左右の座席に拡散することがわかりました。

さらに、落下しなかったエアロゾルと言われる小さな飛まつはエアコンの空気に乗って急速に機内に拡散されます。

一方、マスクを着用すれば発生する飛沫を3分の1に抑えることができ、いずれの姿勢でも感染リスクを低減する効果があったということです。

また、タクシーに乗っているときに運転手がせきをした場合、窓を開けているかどうかによって飛まつがどう変わるかシミュレーションしました。

運転席や後部座席の窓を開けておくと、20秒後には飛まつのおよそ4分の1が運転席側の窓から排出されます。

さらに運転席と後部座席を隔てるパーティションをつけると、飛まつが広がらず、20秒後には飛まつが半分になったということです。

また、窓を閉めていてもエアコンの送風モードをオンにすればおよそ90秒で空気が入れ代わるため、窓を5センチ開けるよりも、エアコンの風量を強くしたほうが換気の効果が高いことがわかったということです。

カラオケボックスでは

理化学研究所などの研究チームは、カラオケボックスでの飛まつの動きも分析しました。

およそ20平方メートルのカラオケボックスに9人が入室した場合、
1人がマスクなしで歌うと、大きな飛まつは前方や机の上などに飛び、エアロゾルと言われる小さな飛まつは、歌を歌い始めて30秒程度で急速に室内全体に広がります。

一方、マスクやマウスガードをつけ、さらに排気口の下に立って歌った場合は、エアロゾルの拡散をかなり抑えることができたということです。

野外活動では

野外活動についてもシミュレーションが行われました。

屋外では、飛まつがすぐに拡散するわけではなく無風であれば正面にいる人に飛まつが飛び、風が吹いても向きによって飛まつを浴びるリスクが高まるとしています。

マスクがない場合、1メートルから1.7メートル離れることで到達する飛まつの量を半分にすることができ、野外であっても距離を取ることは重要だと指摘しています。