がん患者 新型コロナで8人に1人が治療計画変更 自分で判断も

新型コロナウイルスの感染拡大ががん患者の治療にも影響しています。患者のおよそ8人に1人が、院内感染への不安などから治療の計画を変更していたことが支援団体の調査で分かりました。自分の判断で治療計画を変更した人が4割近くに上り、専門家は「適切な治療を受けられなくなるおそれがある」と注意を呼びかけています。

調査を行ったのは、がん患者を支援している一般社団法人「CSRプロジェクト」で、5年以内にがんと診断された患者310人から10月、インターネットを通じて回答を得ました。

がん患者は新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいとされ、調査で感染拡大の影響について尋ねたところ、12.9%が「治療内容やスケジュールに変更があった」と回答しました。

このうち、「自分の判断で変更した」という人が37.5%に上ったということです。

また、主治医などに判断してもらわずに治療内容などを変更した理由を尋ねると、「院内感染の不安」を挙げた人が76.5%を占めました。

国立がん研究センターの若尾文彦がん対策情報センター長は、「自分だけで判断してしまうと適切な治療が受けられなくなるおそれがあり、必ず主治医などに相談してほしい」と話しています。

情報入手は学会HPなども活用を

がん患者を対象にした今回の調査では、新型コロナウイルスへの感染を防ぐための情報をどこから得ているかについても質問しています。

複数回答で最も多かったのが「テレビやラジオ」で82%、次いで「インターネット」が51%、「自治体や厚生労働省などの公的機関」が46%、「家族や友人の口コミや助言」が16%などとなっています。

一方、日本癌学会など、がん関連の3つの学会が連携して、患者や家族向けに新型コロナウイルスの感染対策などの情報も紹介していますが、「医学系の学会のホームページで情報を得ている」という回答は4%にとどまりました。

調査を行った支援団体は「自分の判断で治療をやめてしまった人もいる。確かな情報へのアクセスが必要で、学会や公的機関などのホームページなども活用してほしい」と呼びかけています。

URLは、http://www.jca.gr.jp/public/c_q_and_a.html