東京 小池知事「医療崩壊の回避を」「不要不急の外出控えて」

東京都の小池知事は25日、臨時の記者会見を開き、「都内では非常に厳しい感染状況が続いている」と述べ、重症化を防いで医療崩壊を回避するための対策の1つとして、酒を提供する飲食店などに営業時間の短縮を要請すると説明したうえで、短期間で集中的に対策を講じることで感染拡大を食い止めたいという考えを示しました。

また、小池知事は、「都民にはできれば、できるだけ不要不急の外出を控えていただき、外出する場合には感染予防対策を万全にしていただきたい」と呼びかけました。

臨時会見「重症者が急増 予断を許さない状況だ」

東京都の小池知事は25日午後5時すぎから臨時の記者会見を開きました。

この中で小池知事は「現在、都において非常に厳しい感染状況が続いている。特に25日は重症者が54人に急増していて、予断を許さない状況だ」と述べました。
そして「これまで『死亡者を出さない』、『重症者を出さない』、『医療提供体制の崩壊を防ぐ』の3つの柱で都民の命を守ることを最優先に考え、さまざまな対策を講じてきた。今、一層強い取り組みが必要な状況であると認識している」と述べました。

そのうえで「都民の命を守るため手段を尽くして重症化を防ぎ、医療崩壊を何としても回避しなければならず、これが1番重要だ。これ以上の感染拡大を食い止め、都民の命を守り抜くため、都として『感染対策短期集中』の覚悟であらゆる対策を講じていきたい」と述べました。

その対策の1つとして小池知事は、23区と多摩地域にある酒を提供する飲食店とカラオケ店に対し、今月28日から来月17日までの20日間、営業時間を午後10時までに短縮するよう要請すると説明しました。

全面的に応じた事業者には、一律で40万円の協力金を支給すると説明したうえで、事業者の理解と協力を求めました。

そして「都民にはできれば、できるだけ不要不急の外出を控えていただき、外出する場合には感染予防対策を万全にしていただきたい」と呼びかけました。

また、年末年始は会食の機会が増えるとして、体調が悪い人や、感染すると重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人は、会食への参加を避け、高齢者などと同居している家族も、できるだけ参加を控え、帰宅時には手洗いや消毒などを徹底してほしいと呼びかけました。

さらに、小池知事は「コロナ禍で仕事を失い、事業が立ちゆかなくなり、生活に困窮し、将来に不安を抱えている多くの方がいる。こうした方々に寄り添い、かけがえのない命を守ることも大変重要で、今後、都内の経済や都民の生活を全力で支えるため雇用対策や相談窓口の設置など、セーフティーネットの構築に向けた対策をより一層強化していきたい」と述べ、都民や事業者への支援策を検討する考えを示しました。

小池知事は、営業時間の短縮を要請する効果を問われたのに対し、「8月に行った要請では、繁華街の人出や新規陽性者が減り、会食を通じて感染した人も大幅に減少したという分析がある。営業時間の短縮要請には一定の抑制効果があり、これによってメッセージを発していくことが重要だ」と述べ、要請の意義を強調しました。

また、都として「Go Toトラベル」の一時停止を国に求めていない理由を問われたのに対し、「感染拡大を防止するためには、拡大している地域への観光と、そうした地域からの旅行の両面の『発着』で止める必要があり、全国的な視点から国が判断を行うことが筋ではないか」と述べました

小池知事 臨時会見 主な発言

「『感染対策 短期集中』医療崩壊何としても回避」

「現在、都においては非常に厳しい感染状況が続き、特に、きょうは、重症者数が54人に急増するなど、予断を許さない状況だと考えている。今、一層強い取り組みが必要な状況だ。都民の命を守るため、手段を尽くして重症化を防ぎ、医療崩壊を何としても回避しなければならない。これ以上の感染拡大を食い止め、都民の皆さんの命を守り抜くため、都として『感染対策 短期集中』の覚悟で、あらゆる対策を講じていく」

「不要不急の外出を控えて」

「都民の皆様に改めてお願いだ。いま以上の感染拡大を食い止めるため、できれば、できるだけ不要不急の外出を控えていただきたい。外出する場合にも感染予防・感染対策を万全にしていただきたい」

「高齢者などと同居の家族も会食控えて」

「年末年始に向け会食の機会が増えると思うが、体調の悪い方は会食への参加を避けてほしい。重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方も同じだ。重症化リスクの高い方々と同居しているご家族の皆さんもできるだけ参加を控えていただき、帰宅時には、手洗い・消毒などを徹底していただきたい。『防ごう重症化守ろう高齢者』の徹底をお願いする」

「都内の企業はさらなるテレワークの普及、定着を」

「感染拡大防止にはテレワークが必要だ。今月はテレワーク月間で官民一体で進めているところだが、12月も引きつつぎ、都内の企業には、さらなるテレワークの普及、定着を図る取り組みを進めていただきたい」

「セーフティーネットの構築を一層強化」

「このコロナ禍で仕事を失ったり、生活に困窮され、将来に不安を抱えている方が多くいらっしゃる。こうした方々に寄り添い、かけがえのない命を守ることも大変重要である。このため、今後、都内の経済、都民生活を全力で支えるため、雇用対策などセーフティーネットの構築に向けた対策をより一層強化していく。これ以上の感染拡大を何としても食い止め、経済社会活動への影響を最小限に止めるためにも、都民・事業者の皆様には、『新しい日常・正しく予防』の徹底をくれぐれもお願いする」

知事会見のポイント

東京都の小池知事の記者会見のポイントです。

小池知事は都内の重症者が急増していて、予断を許さない状況だとして、23区と多摩地域にある酒を提供する飲食店とカラオケ店に対し、今月28日から20日間、営業時間を午後10時までに短縮するよう要請することを明らかにしました。

そのうえで、全面的に応じた事業者には一律で40万円の協力金を支給すると説明し、事業者の理解と協力を求めました。

また、観光需要の喚起策、「Go Toトラベル」で、東京を一時停止の対象とするかどうかについては、「全国的な視点から国が判断することが筋ではないか」と述べ、国が決めることだという認識を示しました。

一方、「Go Toイート」については、今月27日から来月17日までの3週間、食事券の新規発行を一時停止し、すでに発行した食事券や、ポイントの利用を控える呼びかけを行うよう、国に要請したことを明らかにしました。

併せて、食事券の販売やポイントを使うことができる期間の延長など、利用者に不利にならないような措置についても要望したということです。

また観光業の回復に向けて、都民の都内での旅行に都が補助する事業、「もっとTokyo」については、都が営業時間の短縮要請を行う20日間の期間が対象となっている旅行の新規の販売を停止するとしました。

ただ、この期間の旅行をすでに予約している人は、そのまま助成を利用できるということです。

そして小池知事は、感染拡大防止に向けて、「都民の命を守るため手段を尽くして重症化を防ぎ、医療崩壊を何としても回避しなければならず、これが1番重要だ。これ以上の感染拡大を食い止め、都民の命を守り抜くため、都として『感染対策短期集中』の覚悟であらゆる対策を講じていきたい」と述べました。

そのうえで、都民に対しては「できれば、できるだけ不要不急の外出を控え、外出する場合には感染予防対策を万全にしていただきたい」と呼びかけるとともに、年末年始は会食の機会が増えるとして、体調が悪い人や、感染すると重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人は会食への参加を避け、高齢者などと同居している家族もできるだけ参加を控え、帰宅時には手洗いや消毒などを徹底してほしいと呼びかけました。