「Go Toトラベル」札幌 対象外し新規予約一時停止を申し入れへ

「Go Toトラベル」について北海道は、札幌市を目的地とする旅行を対象から外し、新規予約を一時停止するよう、政府に申し入れることを決めました。

北海道は、24日午後5時半から道庁で対策本部会議を開きました。

会議では、札幌市で感染者が急増し、医療がひっ迫している状況を踏まえると、政府や分科会が「Go Toトラベル」の対象から外す措置を検討するとしてきた、国の「ステージ3」に相当する状況だとして、札幌市を目的地とする旅行を対象から外し、新規予約を一時停止するよう政府に申し入れることを決めました。

会議で、鈴木知事は「大変苦しい判断だが、札幌市内での一時停止は、やむをえないと判断し、国に伝えたい。利用者や事業者に甚大な影響が生じることから、国の責任において、万全の支援を講じるよう要請する」と述べました。

札幌市内のホテルは

札幌市内のホテルからは、先行きが見通せないことに不安の声がでています。

札幌市中央区にあるホテルでは、政府の緊急事態宣言を受けて、ことしの5月中旬からおよそ1か月間休業し、いったんは、売り上げが前年比で1割以下に落ち込みました。

営業を再開したあとは、宿泊客に安心して利用してもらえるように、入り口にサーモグラフィーを設置して、宿泊客の検温を行っているほか、受付には、飛まつ防止の透明のシートを設置するなど、感染対策を徹底してきました。

先月の売り上げは「Go Toトラベル」の効果もあって、前年比で7割以上に回復したということです。

「ホテルクラビーサッポロ」の平田誠吾支配人は「先月は『Go Toトラベル』で少しにぎわいを取り戻したところだったが、これから先、予約がキャンセルになるのではないかと不安だ。客が少なくなって事業は厳しいが、市内で、これだけ感染者が増えている状況なので、致し方がなく、とても複雑な気持ちだ。年末年始は繁忙期なので、それまでに早く、具体的な対応策を決めてほしい」と話していました。

札幌市内の観光地は

札幌市内の観光地では、観光客が再び減ってしまうのではないかと、不安の声が聞かれました。

札幌市中央区にある札幌市時計台では、来場者がことし6月には、例年の10分の1まで減っていましたが、その後、持ち直し、23日までの3連休は、例年並みまで回復したということです。

札幌市時計台で施設管理を担当している田中幸一さんは「来場者が少しずつ増えてきて、ようやくこの3連休で回復できたのに残念だ。われわれとしては、ちょっとつらいが、医療関係者も大変な状況なので、我慢の時かなと考えている」と話していました。

大阪から「Go Toトラベル」を利用して、友人と旅行中の20代の女性は「本格的な海鮮が食べたくて北海道に来た。割引もあって、クーポンももらえたので、もしなかったら、来るのが来年再来年になっていたかもしれない」と話していました。

札幌市民「まずは感染拡大を止めるべき」

市内の70代の女性は「これだけ感染が拡大してしまったら、しょうがない判断だと思う」と話していました。

市内の50代の男性は「適切な判断だと思う。周りでクラスターが発生したといった話も聞くが、こうした状況を抑えるには個人の努力だけでは、かぎりがあると思うので、政策で抑制していくことは必要だ」と話していました。

市内の40代の女性は「一時停止に賛成する。観光関係者が苦しい思いをしてしまうのは分かるが、まずは感染拡大を止めるべき。ワクチンなどができて、みんなが安全に動けるようになったときに経済対策を進めるのがいいのではないか」としたうえで「感染を抑えるためには札幌だけでなく、北海道全体を対象にした見直しも、検討の必要があるのではないか」と話していました。