日中外相会談 ビジネス関係者など今月中に往来再開で合意

茂木外務大臣は、日本を訪れている中国の王毅外相と会談し、新型コロナウイルス対策の入国制限措置をめぐり、ビジネス関係者などを対象に今月中に往来を再開させることで合意しました。

一方、茂木大臣は、沖縄県の尖閣諸島周辺海域に関する日本の立場を説明し、中国側の前向きな行動を強く求めました。

茂木外務大臣は、24日から2日間の日程で、日本を訪れている中国の王毅外相と外務省の飯倉公館でおよそ1時間半にわたって会談しました。
この中で両外相は、新型コロナウイルス対策をめぐって、情報や教訓、知見の迅速な共有など、引き続き、さまざまなルートで連携していく方針を確認しました。

また入国制限措置の緩和の一環として、短期滞在と長期滞在双方のビジネス関係者などを対象に、今月中に往来を再開させることで合意しました。

さらに茂木大臣は中国が継続している日本産食品の輸入規制を早期に撤廃するよう求め、問題の解決に向け、農水産物の貿易協力に関する枠組みを新たに立ち上げることで一致しました。

また気候変動問題に関して、日中間で話し合いの枠組みづくりも含め意思疎通を強化していくことを確認したほか、海上や空での偶発的な衝突を防ぐため、防衛当局の幹部どうしが電話などで直接やり取りする「ホットライン」の早期開設に向けた調整を進めることで一致しました。

さらに茂木大臣が、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、アメリカをはじめ価値観を共有する各国と連携を強化していることを説明したほか、深刻化する米中対立や北朝鮮情勢をめぐっても意見が交わされました。
一方、中国が東シナ海や南シナ海への進出を活発化させていることを踏まえ、茂木大臣が沖縄県の尖閣諸島周辺海域に関する日本の立場を説明し、中国側の前向きな行動を強く求めたのに対し、王毅外相は尖閣諸島における中国の領有権を改めて主張しました。

そのうえで両外相は、この問題で今後も意思疎通を行っていくことを確認しました。

また茂木大臣は、香港政府が民主派議員4人の資格を失効させたことを含め最近の香港情勢への懸念を伝え、中国側の適切な対応を強く求めたほか、中国の新疆ウイグル自治区の統治政策をめぐり透明性を持った説明を行うよう働きかけました。

このほか習近平国家主席が「積極的に検討する」と表明した中国のTPP=環太平洋パートナーシップ協定への参加をめぐり、茂木大臣は、TPPに参加する場合は高いレベルのルールを満たす用意ができているかを見極めなければならないとする日本の考え方を説明しました。

趙立堅報道官「両国関係のさらなる発展推し進めたい」

王毅外相の日本訪問について中国外務省の趙立堅報道官は、24日の記者会見で「現在の中国と日本の関係は、安定的な発展を続けている。今回の訪問を通じて、新型コロナウイルス対策や経済活動の再開についての協力を深めるとともに国際的な問題についての協調を強化し、両国関係のさらなる発展を推し進めたい」と述べて、期待を示しました。

日本訪問のねらいは…

中国としては、アメリカとの対立が激しさを増す中で、アメリカの同盟国である日本への王毅外相の訪問を通じて、いわゆる「中国包囲網」を切り崩したい思惑もあるものとみられます。

中国共産党系のメディア「環球時報」の英語版は、24日の紙面で、「極めて重要で必要な訪問だ」と強調したうえで「大統領選挙のあと、アメリカの今後の外交方針が定まらない中、東アジアで最も重要な2国間関係の1つである日中関係は、不確実な中でも、確実で揺るぎないものを追求しなければならない」と指摘しています。

アメリカが、大統領選挙をめぐって政治的に不安定な状態にある中、その隙を突く形で、アメリカの同盟国である日本との関係を一層強固にすべきだと主張したものとみられます。

日本との間では、歴史認識や領土をめぐる対立などがあるものの、経済分野での協力は一致できる点が多いとして、東アジアを中心に15か国が参加するRCEP=地域的な包括的経済連携の推進や、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への参加について、意見を交わしたい考えです。

中国としては、多国間の自由貿易の枠組みに積極的に参加する姿勢を示すことで、アジア太平洋地域における影響力を高めたいねらいもあるとみられます。

茂木外相「今月中の往来再開で合意」

茂木外務大臣は、中国の王毅外相との会談後、そろって記者発表にのぞみ、沖縄県の尖閣諸島周辺海域に関する日本の立場を説明し、前向きな行動を強く求めたうえで、今後も意思疎通を行っていくことを確認したと明らかにしました。

また、新型コロナウイルス対策の入国制限措置をめぐり、短期滞在と長期滞在双方のビジネス関係者などを対象に、今月中の往来の再開で合意したことも明らかにしました。

王毅外相「敏感な海域 事態複雑化させる行動回避を」

中国の王毅外相は茂木外務大臣との会談後の記者発表で、沖縄県の尖閣諸島について、「われわれは自国の主権を守っていく」と述べて、中国の領有権を改めて主張しました。

そのうえで、「敏感な海域での事態を複雑化させる行動を回避するとともに、問題が発生した場合は直ちに意思疎通と対話を通じて、適切に対処すべきだ」と強調しました。

さらに、「双方の共同の努力を通じて東シナ海を平和と協力の海にしていきたい。これが基本的な両国の共通利益に合致している」と述べました。

また、王毅外相は、海上や空での偶発的な衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」に関連して、防衛当局の幹部どうしが電話などで直接やり取りする「ホットライン」の年内の開設を目指すことで合意したと明らかにしました。

このほか、両国の関係閣僚による「日中ハイレベル経済対話」を来年、開催することでも一致したことを明らかにしました。