書籍の価格表示 出版社から現状維持求める声相次ぐ

現在、消費税の金額を記さない方法が定着している書籍の価格表示が、来年4月以降、税額を含む「総額表示」に変更を迫られる見通しとなり、出版業界では、表示の変更にともなう負担の増加は値上げや絶版につながりかねないとして現状の維持を求める声が相次いでいます。

商品の価格表示は、消費者が支払総額を一目で分かるように平成16年から消費税額を含む「総額表示」が義務化されていますが、平成25年から税別での表示を認める特別措置法が適用され、書籍では消費税の金額を記さずに本体価格だけを裏表紙などに表示する方法が定着しています。

こうした中、この特別措置法が来年3月で期限を迎え、4月からすべての商品で総額表示が義務づけられる見通しとなったことから、出版業界では現状の維持を求める声が相次いでいます。

書籍は点数が多いうえ流通期間が長く、表示をすべて変えることは現実的ではないことなどが主な理由で、これまでに大手の出版社などが加盟する日本書籍出版協会や中小の出版社が加盟する日本出版者協議会などが、財務省に要望書を提出しています。

このうち日本出版者協議会は、今の表示が消費者に広く受け入れられているとしたうえで、消費税率が変わるたびに出版社への負担が繰り返されることになり、ひいては値上げや絶版など、消費者の不利益につながると訴えています。

日本出版者協議会の水野久会長は「総額表示の義務化による混乱で本が絶版に追い込まれることがあれば、これがいちばんの文化的な損失だ。

多様な本が出ていることが出版文化の豊かさだと思っているので、文化の多様性だけは守っていきたい」と話しています。

一方、財務省は「総額表示は出版物に限らず法律で定められた義務であり、今後も丁寧に説明しながら出版社側に準備を進めてもらえるようにしたい」としています。