ハンドドライヤー「使用しない」経団連 ガイドライン見直しへ

「そういえば、あれ、いつ使えるんだろう」。駅やショッピングセンターのトイレにある温風で手を乾かすハンドドライヤーについて、経団連は「使用しないこと」としていたガイドラインを専門家の意見や海外の状況を踏まえ、見直すことにしています。

新型コロナウイルスの感染が拡大したことし春以降、各地の駅や商業施設などでは予防のためなどとしてトイレに設置したハンドドライヤーの使用を中止する動きが広がっていきました。

経団連はことし5月に企業向けに公表した感染予防対策ガイドラインで「ハンドドライヤーは利用をやめ、共通のタオルを禁止し、ペーパータオルを設置するか従業員に個人用タオルを持参してもらう」と定めています。

各地で感染対策が進む中、経団連にはメーカー各社から商品の安全性を訴える意見が寄せられているほか、ドライヤーを使っている事業所からもいつまで使用をやめればいいのかという問い合わせが増えているということです。

世界的には、WHO=世界保健機関はハンドドライヤーを使用するだけでは新型コロナウイルスの感染を防ぐ効果はないとしながらも、「頻繁に手を洗いペーパータオルやハンドドライヤーで十分に乾かすべきだ」としています。

また経団連が各国の状況を調べたところ、イギリス政府やアメリカCDC=疾病対策センターのガイドラインでも手洗いの後にハンドドライヤーで手を乾かすよう定めているほか、シンガポールや香港も同様だということです。

こうした状況を踏まえ、経団連は、専門家の意見も踏まえながら「ハンドドライヤーを使わない」とした記載を見直すことにしています。

経団連は「ガイドラインを作ったときは接触確認アプリ『COCOA』もまだなく、出張も不用の場合は見合わせると記載していた。新型コロナウイルスの影響が長引く中で、現状にあった形で見直していきたい」と話しています。

厚労省 十分な手洗いでリスク下げられる

ハンドドライヤーの使用について厚生労働省は、「洗い残ったウイルスが飛まつと一緒に飛散するという専門家からの指摘はあるが、十分な手洗いをすることで感染のリスクを下げることはできる」としています。

そのうえで厚生労働省のホームページに掲載している正しい手の洗い方を参考にしてほしいと呼びかけています。

吸引するタイプの製品に注目

温風で手に付いた水滴を吹き飛ばすハンドドライヤーの利用再開に向けた検討が進む中、水滴を拡散させないよう吸引するタイプの製品にも注目が集まっています。

札幌市の企業では10年以上前から水滴を吸い込んで手を乾かすハンドドライヤーを販売しています。

吹き飛ばすのではなく風を吸い込むことで水滴が周囲に飛び散るのを防ぐことができるとして、これまで、食品や自動車部品の工場などで使われていました。

会社によりますと新型コロナウイルスの影響で、吸引型の製品に関する問い合わせが増加していて、ことしはすでに例年の10倍近い台数を販売したということです。