EU コロナから経済立て直す「復興基金」運用協議も 合意至らず

EU=ヨーロッパ連合は首脳会議を開き、新型コロナウイルスによって打撃を受けた経済を立て直すための基金の運用について協議しましたが、条件をめぐって合意に至らず、感染が再び拡大する中、経済再建が遅れることも懸念されています。

EUは19日、オンライン形式で首脳会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた加盟国の経済の立て直しに向けて設けられる、90兆円規模の「復興基金」の運用について協議しました。

EUは、ハンガリーやポーランドがEUの基本理念である「法の支配」に反して強権的な体制を強めているとして懸念を深めていることから、「法の支配」の順守を復興基金からの資金拠出の条件としましたが、両国は強く反発しています。

一方、オランダなどはこの条件を取り下げるべきではないと主張していて、最終的な合意は先送りされました。

EUのミシェル大統領は、会議後の記者会見で「各国とも基金が必要だということでは一致している。残るは『法の支配』の問題だけだ」と述べて、合意を急ぐ考えを示しました。

EUは今後も閣僚レベルなどでの協議を続け、来月の首脳会議で改めて議論する方針です。

ただ、各国が折り合えなければ基金の運用開始が予定されている来年1月に間に合わず、感染の再拡大によってさらなる打撃を受けている経済の立て直しが遅れることも懸念されます。