米ポンペイオ国務長官 ヨルダン川西岸とゴラン高原を訪問

アメリカのポンペイオ国務長官は、イスラエルが占領するヨルダン川西岸のユダヤ人入植地と、ゴラン高原を歴代の政策を覆す形でアメリカの国務長官として初めて訪問しました。

ポンペイオ国務長官は19日、イスラエルが占領するパレスチナのヨルダン川西岸にあるユダヤ人入植地と、イスラエルがシリアから奪う形で占領しているゴラン高原を相次いで訪問しました。
トランプ政権は、アメリカの歴代の政策を覆し、去年3月にゴラン高原についてイスラエルの主権を認めたほか、去年11月にはヨルダン川西岸でのイスラエルによる入植活動を国際法違反と見なさないと表明していて、アメリカの国務長官がゴラン高原やヨルダン川西岸の入植地を訪れるのは初めてです。
ポンペイオ長官は、ゴラン高原で記者団に対し「トランプ大統領は、この場所は間違いなくイスラエルの一部であるという基本的な事実を認めただけだ。この場所に立てることを光栄に思う」と述べ、イスラエルの主権を認めたトランプ政権の決定の正当性を主張しました。

ポンペイオ長官は4年後の2024年の大統領選挙に立候補する可能性も取り沙汰されており、アメリカのメディアからはイスラエルを支持するキリスト教福音派など国内の保守層に向け、政治的遺産を残すねらいがあるとの見方も出ています。

パレスチナ暫定自治政府は訪問に反発

パレスチナのヨルダン川西岸にあるユダヤ人入植地をめぐっては、国際法違反だとする国連安保理決議が採択されていて、日本を含む国際社会はイスラエルに対し、入植活動の凍結や停止を呼びかけています。

パレスチナ暫定自治政府は、ポンペイオ長官の訪問が取り沙汰されていた段階からすでに反発していて、15日には、「パレスチナ人や暫定自治政府に対する挑発で、国際社会の決議を明らかに軽視している」という声明を発表し、訪問しないよう強く求めていました。

こうした中、今回、ポンペイオ長官が訪れたのは120余りある入植地のうち、パレスチナ暫定自治区の主要都市ラマラの東側にある「プサゴット」という入植地です。

この入植地のワイナリーでは、ポンペイオ長官の名を冠したワインをつくり、販売しています。

EU司法裁判所は去年、入植地で生産された製品には「入植地産」と表記すべきだという判断を示していて、これに対してアメリカ国務省はイスラエルへの偏見だと反対の声明を出していました。

ワイナリーでは、イスラエルを擁護したアメリカ国務省に感謝の意を示してワインに長官の名前を付けたと説明しています。

ポンペイオ長官は今回の訪問の際にも、ヨルダン川西岸のうち、イスラエルが管轄する地域で生産されたものには、イスラエル産と表記すべきだと発言し、パレスチナ側は反発を強めています。

シリア外務省「挑発的な行動 あからさまな侵害だ」

ポンペイオ長官がイスラエルが占領するシリア領のゴラン高原を訪問したことについて、シリア外務省は19日、国営通信を通じて、「トランプ政権の終えんを前にした挑発的な行動であり、シリアの主権に対するあからさまな侵害だ」として強く非難しました。