後期高齢者の医療費 2割負担対象の“所得線引き” 5案を提示

後期高齢者の医療費の窓口負担の引き上げをめぐって、厚生労働省は、新たに2割負担の対象となる所得の線引きについて、5つの案を示しました。

現役世代の負担上昇を抑えるため、政府は、75歳以上の後期高齢者の病院などでの窓口負担を、今の原則1割から一定の所得以上の人は2割に引き上げる方針です。

厚生労働省は、19日開かれた医療保険部会で、引き上げの対象となる所得の線引きについて、年収155万円以上から、年収240万円以上まで、5つの案を示しました。

このうち、対象を最も絞った年収240万円以上の案は、75歳以上の13%にあたるおよそ200万人が2割負担を求められることになる一方、現役世代の負担が470億円軽減できるとしています。

これに対し、対象を最も広げた年収155万円以上の案は、全体の37%にあたるおよそ605万人が対象となる一方、現役世代の負担軽減は、年間1430億円と見込んでいます。

さらに、19日の部会では、2割負担になる人は、1人当たり年間平均3万4000円負担が増えることから、2年間は、外来受診の負担増加額を、月4500円に抑える配慮措置の案も示されました。

出席者からは、「今、痛みを伴う改革に手をつけなければ、将来にわたって保険制度は維持できない」という意見の一方、「医療費の負担増加は、大きな社会不安になる」といった指摘も出され、引き続き、議論を行うことになりました。

政府は、いわゆる「団塊の世代」が75歳になり始める2022年度までに、引き上げを実施したい考えで、具体的な検討を急ぐ方針です。

“所得線引き”5案の詳細

厚生労働省は、2割負担を求める所得の線引きについて、5つの案を示しました。

◇1つ目は、最も対象を絞った案です。
介護保険の自己負担が2割となる対象者の割合と同じ程度となる年収240万円以上を対象にするとしています。
75歳以上の13%にあたるおよそ200万人が2割負担の対象となります。
この場合、現役世代の負担が、年間470億円軽減できるとしています。

◇2つ目の案は、現在、2割負担となっている70歳から74歳の人の平均収入を上回る水準の年収220万円以上です。
全体の18%にあたるおよそ285万人が対象となります。
現役世代の負担軽減は、670億円になるとしています。

◇3つ目の案は、平均的な収入で算定した単身者の年金額を上回る水準の年収200万円以上です。
対象となるのは、23%にあたるおよそ370万人です。
現役世代の負担軽減は、880億円と見込んでいます。

◇4つ目の案は、所得税の課税対象となる水準の年収170万円以上です。
対象は、全体の31%にあたるおよそ520万人です。
年間1220億円、現役世代の負担を軽減できるとしています。

◇5つ目の案は、最も対象を広げた案で、住民税が課税される水準の年収155万円以上です。
75歳以上の37%にあたるおよそ605万人が対象となります。
この場合、現役世代の負担軽減は、年間1430億円と見込んでいます。

一方、年収が383万円以上あるおよそ130万人は、「現役並みの所得がある」とされ、引き続き、現役世代と同様、3割負担が求められます。
こうした人は全体の7%です。