中国大使館装う特殊詐欺 在日中国人が被害 引き出し役か男逮捕

中国大使館装う特殊詐欺 在日中国人が被害 引き出し役か男逮捕
中国大使館などを装う自動音声の電話をかけ、都内に住む中国出身の男性から現金30万円余りをだまし取ったなどとして、現金の引き出し役とみられる男が、警視庁に逮捕されました。都内では、ことし8月以降、自動音声の国際電話で、在日の中国人が被害に遭うケースが相次ぎ、被害額は少なくとも6000万円余りに上っているということです。
逮捕されたのは、東京 大田区に住む中国籍の林逢茂容疑者(23)です。

警視庁によりますと、先月、都内に住む中国出身の男性に、中国大使館を名乗る自動音声で「大事な書類を預かっている」という電話をかけたうえ、折り返した男性に「取引先にマネーロンダリングの疑いがある。あなたも不正な利益を得ていないか確かめたいので、資産を公開してほしい」などと、うそを言って現金30万円余りを振り込ませて、だまし取るなどした疑いが持たれています。

都内のATMの防犯カメラに、林容疑者が現金を引き出す様子が写っていたということで、調べに対し、容疑を否認しているということです。

警視庁によりますと、都内では、ことし8月以降、自動音声の国際電話で、在日の中国人が被害に遭うケースが相次ぎ、被害額は少なくとも6000万円余りに上っているということです。

警視庁は、こうした不審な電話には出ないよう、注意を呼びかけています。

背景に中国国内の取締り強化か

不審な自動音声の国際電話が急増している背景について、中国の犯罪に詳しい一橋大学大学院の王雲海教授は、去年から中国で「電信詐欺」と呼ばれる、特殊詐欺の大規模な取締りが行われるようになったことで、中国の詐欺グループがターゲットを海外に移しているのではないかと、指摘しています。

そのうえで、王教授は「中国人は、政府や公安当局からの要請に敏感で、在留資格の剥奪などを持ち出されると、詐欺グループの要求に応じてしまいやすい。これから、中国の旧正月にあたる『春節』を迎え、中国国内とのやり取りが活発化すれば、こうした詐欺の被害は、さらに増えるのではないか」と話していました。

不審な自動音声の国際電話が急増

迷惑電話や不審な電話の分析を行っている情報セキュリティ会社によりますと、こうした不審な国際電話はことし9月以降、全国で急増していて、これまでに10万件以上が検知されています。

国際電話をかける際には電話番号の前に相手の国番号をつける必要がありますが、最近は架空の国番号からかかってくることも多いということです。

このうち、通話の内容が確認できた事例としては、中国語の自動音声で「在留資格に関わる」などと不安をあおって指定した番号に電話をかけさせたうえ、「在留資格が剥奪される」などとうそを言ってお金をだまし取ろうとするケースなどがあるということです。

無作為に電話をかけ、折り返してくる在日の中国人をターゲットにしているとみられていますが、日本人でも着信履歴に残された番号に折り返すと高額な通話料を請求されるおそれがあるとしています。

名古屋市の情報セキュリティ会社、「トビラシステムズ」の岩渕るみさんは「国際電話は番号の頭に『+』がついているほか、日本では見慣れない番号の並びになっていたりするので、こうした身に覚えのない電話には出ないようにしてほしい」と注意を呼びかけています。