東京都 新型コロナ 最も高い警戒レベルに引き上げ

東京都は、新型コロナウイルスの都内の感染状況を4段階のうち最も高い警戒レベルに引き上げました。専門家は、「急速な感染拡大の局面を迎えた。今後の状況に厳重に警戒する必要がある」と指摘しています。

都内の新型コロナウイルスの感染状況などを分析・評価する「モニタリング会議」が開かれ、専門家は、18日までの7日間平均で、新たな感染の確認がおよそ326人となり、前回・1週間前の時点のおよそ244人から、大幅に増加したと報告しました。

そのうえで、「急速な感染拡大の局面を迎えた。今後の状況に厳重に警戒する必要がある」と指摘しました。

また、「重症化リスクの高い高齢者の新規陽性者が大幅に増加しており、高齢者への感染の機会をあらゆる場面で減らすことが必要だ」と説明しました。

そして、都内の感染状況を4段階のうち最も高い警戒レベルに引き上げ、「感染が拡大していると思われる」という最も深刻な表現にしました。
都内の感染状況が最も高い警戒レベルになるのは、ことし9月以来です。

一方、医療提供体制については、上から2番目の警戒レベルを維持しました。

ただ、「入院が必要な患者の急増に対応できる病床の確保が急務だ」などとして、医療機関の病床のほか、症状のない人などのための宿泊療養施設の受け入れ態勢を強化する必要があると指摘しました。

都内の検査件数は増加

都によりますと、都内で行われる新型コロナウイルスの検査は増加しています。

都によりますと、先月は7000件台が1日、6000件台が4日でした。
それが今月は17日までに、7000件台の日が4日、6000件台の日も5日ありました。
さらに、今月16日は8600件で、初めて8000件を超え過去最多になりました。

検査の増加について都の担当者は「感染拡大で検査を受ける人が増えていることに加え、検査が必要な濃厚接触者も増えているためだ」としています。

一方、PCR検査と抗原検査をあわせた検査能力は、先月30日時点で1日2万5000件で、都は、インフルエンザとの同時流行に備えて、来月上旬までに1日最大およそ6万5000件まで大幅に拡充することにしています。

小池知事「高齢者や同居家族は会食控えて」

東京都内で新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、小池知事は会食で感染した人が家庭内に持ち込んで感染したと思われる事例が相次いでいるとして、会食は少ない人数で開催するなど対策の徹底を呼びかけました。

また、高齢者や基礎疾患のある人は会食への参加を避け、同居する家族もできれば控えてほしいとしています。

都内では19日、新たに534人の感染が確認され、1日としては初めて500人を超え、18日に続いて最多を更新するなど急速に感染が拡大しています。

小池知事は、19日午後5時すぎから臨時の記者会見を開き、「1日の新規陽性者数が非常に高い水準で推移し、特に重症化リスクの高い高齢者の新規陽性者数が増加している」と指摘しました。

そして、「8月以降、最大の感染経路は家庭内で、会食の場などで感染した方が家庭に持ち込んだと思われる事例が報告されている。複数人がほぼ同時に発症したケースもあり、1度ウイルスが家庭内に持ち込まれると、感染拡大を防ぐことが非常に難しくなる。高齢の家族がいる場合、家庭内にウイルスを持ち込まないことを強く意識するようお願いしたい」と述べました。

年末年始を迎えて多くなる会食の際の対策として、小池知事は、「小さい」という漢字の「小」を使い、都民に強く意識してほしいこととして、5つのキーワードを挙げました。

具体的には、大人数で長時間の会食は感染リスクが高まるとして、会食は小人数で開催し、あらかじめ終了時間を決めて小一時間程度にし、会食中は小声で話すようにしてほしいとしています。

また、料理は小皿に取り分けるほか、小まめに手洗いや消毒を行ってほしいなどとしています。

さらに、小池知事は、「高齢者をはじめ基礎疾患のある方は会食をできるだけ避けていただきたい。こうした重症化リスクの高い方々と同居している家族もできるだけ参加を控えて、帰宅時には手洗いや消毒などを徹底していただきたい」と呼びかけました。

一方、今の段階で飲食店に対する時短営業の要請を行わない理由について質問されたのに対し、小池知事は、「感染の確認が増えているが重症者が増えていないという状況の中で最も効率的なことは何かということを専門家の意見をベースに検討した。年末に向けてさまざまな会合があるなかで会食や家庭内の対応を改めて皆さんの行動変容をお願いしたところだ」と述べました。

そのうえで「自分自身、家族に言い聞かせて対策をとってほしい。それが効果的であり、それによって重症者を出さないための方策につながっていく」と述べました。

専門家「かなり感染が広がっている 深刻に捉え対策を」

都内の感染状況が最も高い警戒レベルに引き上げられたことについて、会議に出席した国立国際医療研究センターの大曲貴夫 国際感染症センター長は、「かなり感染が広がっているという判断で、深刻に捉えていただきたい。感染しやすい場、リスクが高い場というのはわかってきている。個人個人でリスクを感じ取って対策をとっていただきたい」と述べました。